中国のハイテク企業に対するアメリカ政府の制裁が続くなか、スーパーコンピューターや高性能サーバーの開発を手がける国策ハイテク企業、曙光信息産業(中科曙光。英語名はSugon)は国産CPU(中央演算処理装置)の採用拡大に乗り出す。
中国政府直属の最高研究機関、中国科学院を母体にする同社は、4月22日、第三者割当増資により最大47億8000万元(約726億円)を調達すると発表した。そのうち20億元(約303億円)を国産CPUを採用した高性能ワークステーション、エッジサーバー、AI(人工知能)サーバーなどの開発および増産に振り向ける計画だ。
なお、調達資金の残りは13億8000万元(約210億円)を運転資金の積み増し、9億2000万元(約140億円)をスーパーコンピューターのI/O(デジタル出入力)モジュールの開発、4億8000万元(約73億円)を組み込み型アクティブ制御ファームウェアの開発などに充てるという。
アメリカの制裁で代替技術の確保が急務に
アメリカ政府は2019年6月、中科曙光および傘下の複数の子会社をエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加した。このため中科曙光は、アメリカの最先端技術が組み込まれた製品やサービスの調達を制限され、代替技術の確保が急務になっていた。
新開発するワークステーションやサーバーにはX86、MIPS、ARMの3種類のアーキテクチャーを採用する。そのうち市場の主流を占めるX86はアメリカのインテルが開発したもので、国産半導体メーカーでは中科曙光の子会社の海光信息技術や上海市政府系の兆芯集成電路などが互換CPUを開発している。
中国のあるクラウドサービスプロバイダーの関係者によれば、米中関係の緊張が続くなか、国産CPUの振興は必然の流れだという。しかし主流のX86アーキテクチャーで、国産CPUとインテル製には今も歴然とした性能差がある。
「それでも国内のさまざまなしがらみから、より多くの国産CPUに対応せざるをえない」と、この関係者は打ち明けた。
(財新記者:葉展旗)
※原文は4月23日配信
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