金鉱採掘の紫金鉱業集団が、南太平洋のパプアニューギニアで「ブラックスワン」(訳注:黒い白鳥=事前に予測できないが、発生したら甚大な被害となる事象)に遭遇した。4月24日、同社が権益を持つポルゲラ鉱山の採掘権の延長をパプア政府が却下したのだ。
ポルゲラ鉱山は紫金鉱業とカナダのバリック・ゴールドの合弁企業、バリック・ニューギニア(BNL)がプロジェクト権益の95%を所有する。紫金鉱業は2015年に2億9800万ドル(約317億円)を投じ、BNLの権益の50%を買収した。
BNLの採掘権は2019年8月に期限が切れていたが、その後も採掘の継続が認められていた。ところがパプア政府は突如、採掘権の延長申請を認めず今後について協議するための国家交渉団を組成すると発表。これに対してBNLは、パプア政府や鉱山の土地所有者との話し合いを望むものの、合意に至らなければ政府に対して損害賠償を求めるという声明を出した。
アフリカや南米など11カ国に鉱山権益を保有
紫金鉱業は金、銅、亜鉛などの探鉱および採掘で中国有数の大手企業。パプアのほかアフリカや南米など海外11カ国に鉱山権益を保有している。
ニューギニア高地のエンガ州にあるポルゲラ鉱山は、金の埋蔵量314トン、鉱石1トン当たりの含有量4.2グラム、年間平均生産量15.5トンと、世界の十指に数えられる金鉱山だ。2019年は紫金鉱業に8.83トンが配分され、同社の金生産量の21.6%を占めた。
紫金鉱業の決算報告書によれば、2019年にポルゲラ鉱山の権益から得た純利益は5億2700万元(約79億円)。これは同年の総純利益の12.3%に相当する。今回のパプア政府の決定が同社の業績に大きな影響を与えるのは確実だ。
(財新記者:全月)
※原文の配信は4月28日
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