1億8300万元(約27億6000万円)。これはマネーロンダリング(資金洗浄)を防止する法規の違反行為に対して、中国人民銀行(中央銀行)が2020年1~3月期に課した罰金の総額だ。この金額は2018年の1年間の罰金総額1億8900万元(約28億5000万円)に迫るもので、2020年の罰金総額が過去最高を記録するのは間違いない。
マネーロンダリング対策専門のコンサルティング会社「徴悠諮詢」のデータによれば、1~3月には中国の18の省および直轄市にある人民銀行の38の出先機関が、マネーロンダリング対策の義務を負う金融機関やノンバンクに対して94件の罰金を科した。この件数は前年同期の1.5倍を超える。
人民銀行はさらに、悪質な違反事例の実名公開にも踏み切った。最も罰金額が大きかったのは決済サービス会社の「深圳瑞銀信信息技術」の6124万元(約9億2300万円)。そのほか、2360万元(約3億5600万円)を科された中国民生銀行、1820万元(約2億7400万円)を科された中国光大銀行、1010万元(約1億5200万円)を科された華泰証券なども社名を公表された。
「欧米に比べて罰則が甘い」との批判に対応
ここにきて罰金額が急増した裏には、人民銀行の姿勢の変化がある。中国の「反洗銭法」(アンチマネーロンダリング法)は罰則や運用が欧米諸国に比べて甘く、かねて「抑止効果が足りない」と批判を受けていた。
反洗銭法の第32条は、「顧客の本人確認情報や取引記録の保管を怠った」場合など6項目について、重大な違反には罰金20万~50万元(約300万~750万円)、マネーロンダリングを実際に行えば罰金50万~500万元(約750万~7500万円)を科すとしている。だが以前はある企業で違反が見つかっても、その件数は企業単位で数えられ、多くのケースで罰金額が数十万元で済んでいた。
これでは違反行為を意図的に重ねる悪質企業ほど、処罰が相対的に軽くなってしまう。そこで人民銀行は罰金の算出方法を改め、違反行為の実際の回数やその程度に応じて累積的に罰金を科すことにした。法規に違反した項目が多いほど、そしてその回数が増えるほど罰金が重くなる仕組みにより、抑止効果の向上を目指している。
(財新記者:彭駸駸)
※原文は4月28日配信
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