中国のインターネット業界で、新型コロナウイルス流行の影響の明暗が分かれている。オンライン・ゲームやオンライン教育などには追い風となったが、ネット広告への依存度が高い企業は厳しい現実に直面している。
後者の典型が検索エンジン2位の捜狗(Sogou)だ。ニューヨーク証券取引所に上場する同社は5月18日、2020年1~3月期の決算報告書を発表。それによれば、売上高は前年同期比2%増の2億5700万ドル(約277億円)を確保したものの、最終損益は3160万ドル(約34億円)の赤字に転落し、四半期ベースで過去最大の損失を計上した。
赤字転落の直接的な要因はネット広告のマージンの縮小だ。捜狗の売上高総利益率は2019年1~3月期は27%、同年10~12月期は44%だったが、2020年1~3月期は16%にまで落ち込んだ。同社は2020年4~6月期の業績についても悲観的な見通しを示す。売上高は前年同期比8~14%減少し、最終損益は700万ドル(約7億5000万円)前後の赤字になる可能性があるという。
ネット広告依存の限界がコロナで露呈
中国で新型コロナが流行していた期間、捜狗の2大事業である検索エンジンとスマートフォン向け中国語入力サービス(訳注:タッチパネルの入力を漢字に変換するクラウドベースのソフトウェア)は過去最大のトラフィックを記録していた。にもかかわらず、売上高の増加にはつながらなかった。新型コロナの打撃を受けた広告主の多くが予算を削減したためだ。
「広告主との商談により多くの時間を費やし、年内に広告獲得を正常化させたい」。捜狗の創業者でCEO(最高経営責任者)の王小川氏は、決算説明会でそう語った。だが、同社が苦況を脱するために必要なのは広告収入の回復より、新たな成長モデルをいかに作り出すかだろう。
捜狗の四半期ベースの売上高は、2018年の前半まで前年同期比40~50%の高い伸びを見せていた。ところが、その後の成長率は多くの四半期で1~2%に鈍化し、ネット広告依存の限界が見えていた。今回の赤字転落は、捜狗の事業構造転換の遅れをコロナが露呈させたと言えそうだ。
(財新記者:葉展旗)
※原文の配信は5月19日
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