中国文化観光省は7月14日、旅行会社の業務再開に関する新たな通達を発表した。政府が定める新型コロナウイルスの流行リスクが中度と高度の地域を除いて、省と省の境界をまたぐ団体ツアーや航空券とホテルのセット商品の販売再開を認めた。省境をまたぐ団体旅行の解禁は実に173日ぶり。一方、海外ツアーの再開は見送られた。
通達では観光スポットの防疫対策も一部緩和された。受け入れ客数の制限、事前予約、時間をずらした入場などは継続されるが、平時の30%とされていた受け入れ客数の上限が50%に引き上げられた。また、防疫対策を徹底したうえで屋内の観光スポットの再開も認められた。
今年1月23日、文化観光省は新型コロナの流行拡大を受けて国内の団体ツアーなどの中止を指示。1月27日からは海外ツアーも相次いで中止された。各地の観光スポットは閉鎖され、全国の4万社近い旅行会社と3000万人近い観光業従事者が「長い休業」に突入した。
今年の国内観光収入は約18兆円減少
その後、新型コロナの流行が落ち着き始めた3月初めから湖北省以外の観光スポットが徐々に営業を再開。当初は観光客の戻りは鈍かったが、5月の「労働節」や6月の「端午節」の連休を経て、まず近場の観光地への小旅行から回復が始まった。とはいえ、多くの旅行会社にとって稼ぎ頭はやはり省境をまたぐ団体ツアーと海外ツアーだ。
今回の省境をまたぐ団体ツアーの解禁について、旅行業界では安堵と不安が交錯している。「173日もの“失業”がやっと終わってうれしい。でもツアーを再開することと、実際に参加してもらえるかどうかは別の話だ。顧客の節約志向が強まっており、利益を上げられるか心配でならない」。雲南省のあるツアー企画会社の担当者は、そう胸の内を語った。
中国の観光業が新型コロナの流行で被った打撃はとてつもなく大きい。文化観光省傘下のシンクタンクの中国旅游研究院は、2020年の国内観光客数が前年より延べ9億3200万人減少し、国内観光収入は同1兆1800億元(約18兆540億円)落ち込むと予想している。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は7月15日
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