中国の「個人向けローン」に見るコロナの爪痕 貸出額は回復、不良債権比率は小幅に上昇

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個人向けローンの貸出額は家計の状況や消費者心理を敏感に映し出す(写真はイメージ)

今年1月から3月にかけて中国で流行した新型コロナウイルスは、企業活動や市民生活に多大な影響を与えた。そんななか、家計の状況や消費者心理を敏感に映す「個人向けローン」にはどんな変化があったのだろうか。

財新が入手した中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)のデータによれば、2020年1~3月期の個人向け自動車ローンおよびその他の消費者ローンの貸出総額は270億元(約4077億円)減少した。だが月次で見ると、新型コロナ流行のピークだった2月の貸出額が1600億元(約2兆4160億円)余り減少したのに対し、経済活動の再開が始まった3月の貸出額は逆に1200億元(約1兆8120億円)余り増加した。

個人向けクレジットカード・ローンも同様だ。1~3月期全体では3300億元(約4兆9830億円)余り減少したなかで、2月は4000億元(約6兆400億円)余り減少し、3月は1400億元(約2兆1140億円)余り増加した。

ローンの資産の質は総じて安定

一方、個人向けローンの不良債権比率は小幅に悪化した。銀保監会のデータによれば、3月末時点の自動車ローンおよびその他の消費者ローンの不良債権比率は年初時点より0.24ポイント、クレジットカード・ローンは同0.25ポイントそれぞれ上昇した。

本記事は「財新」の提供記事です

ある銀保監会の関係者は財新記者の取材に対し、不良債権比率の上昇について2つの要因を挙げた。第1に、コロナの影響で一部の個人の返済能力に影響が出ていること。第2に、クレジットカード・ローンは返済期限が比較的短いため、返済能力低下の影響がすぐに表れやすいことだ。

とはいえ総じて言えば、コロナの流行期にも個人向けローン資産の質は安定していた。「今後は中国の景気が徐々に上向くとともに、ローン利用者の返済能力も回復する」と、この関係者は予想する。

(財新記者:胡越)
※原文の配信は5月26日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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