中国海関総署(税関)が6月7日に発表した貿易統計データによれば、中国の2020年5月の輸出額(ドル建て)は前年同月比3.3%減の2068億ドル(約22兆6700億円)と、4月(同3.5%増)より6.8ポイント低下して2カ月ぶりのマイナスに転じた。一方、輸入額は同16.7%減の1439億ドル(約15兆7700億円)と大幅に落ち込み、その結果、5月の貿易黒字は629億ドル(約6兆9000億円)と過去最大を記録した。
5月の輸出が振るわなかった原因は、新型コロナウイルスの世界的大流行による外需の縮小だ。とはいえ3.3%という減少幅はエコノミストの事前予想を下回った。背景にはマスクや防護服などの防疫物資の輸出が増え続けていることがある。海関総署のデータによれば、5月1日から5月16日までの防疫物資の輸出額(人民元建て)は632億元(約9800億円)に達した。
ハイテク製品の輸出好調、衣料品などは2桁減
海関総署は5月後半のデータをまだ公表していないが、4月4日から4月30日までの防疫物資の輸出額は610億元(約9460億円)であり、5月前半だけで4月のほぼ1カ月分を超えたことになる。華創証券のマクロ経済担当チーフアナリストの張瑜氏は、仮に5月後半の輸出規模が前半と同じだった場合、5月の総輸出額に対する防疫物資の寄与度は9%前後に及ぶと見る。
防疫物資以外ではパソコンなどハイテク製品の輸出が好調で、輸出額が前年同月比7.8%増加した。一方、衣料品など労働集約型の製品の輸出額は2桁のマイナスを記録した。地域別で最大の輸出先はASEAN(東南アジア諸国連合)だったが、輸出額は前年同月比5.7%減少。アメリカへの輸出額は同1.2%、EU(欧州連合)は同0.7%それぞれ減少し、日本への輸出額は同11.2%増加した。
輸入に目を転じると、5月は原油の輸入が数量ベースで前年同月比19.2%増えたが、国際石油価格の大幅下落で金額ベースでは同55.1%減少した。鉄鉱石なども同じ傾向であり、コモディティ相場の低迷が総輸入額を押し下げた格好だ。そんななか、大豆の輸入は数量ベースで前年同月比27.4%増え、金額ベースでも同25%増加したのが目立った。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は6月7日
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