世界最大級のカジノ都市であるマカオの経済が、新型コロナウイルスによる深刻な打撃にあえいでいる。マカオでは新型コロナの市中感染の拡大を防いだものの、基幹産業のカジノと観光を支える域外からの訪問客が激減してしまったためだ。
マカオ政府のカジノ監督部門である博彩監察協調局が6月1日に発表したデータによれば、2020年5月のカジノ収入は17億6400万パタカ(約238億円)と前年同月比93.2%も減少。その2日前に発表されたマカオの2020年1~3月期の域内総生産(GDP)は、前年同期比48.7%減の565億パタカ(約7628億円)と四半期ベースで過去最大の落ち込みを記録した。
新型コロナの世界的流行で国境を越える人の移動がほとんどストップしたため、1~3月期のマカオのインバウンド旅客数は前年同期比68.9%減少。カジノ産業によるサービス輸出は同61.5%、その他の観光業によるサービス輸出は同63.9%それぞれ減少した。
カジノ運営会社の経営は軒並み赤字に
マカオ政府は2月5日から19日まで域内の全カジノを閉鎖した後、社会的距離などの防疫対策をしたうえで2月20日から部分再開を許可した。しかし3月後半、域外からの訪問客に新型コロナの感染例が見つかり、より厳しい水際対策を取らざるをえなくなった。
その結果、4月のカジノ収入は7億5400万パタカ(約102億円)と前年同月比96.8%も減少。4月と5月の2カ月連続でカジノ収入が9割以上落ち込んだことにより、カジノ運営会社の経営は軒並み赤字に陥っている。
マカオでは4月9日以降、50日以上連続で新型コロナの感染例は確認されていない。5月からは学校の授業も順次再開された。アメリカの金融サービス会社のジェフリーズは5月下旬に発表した調査レポートで、マカオ政府が訪問客の入境制限を緩和する条件が整いつつあり、カジノ運営会社の業績は近い将来に底を打つと予想した。
(財新 駐香港記者:劉雁菲)
※原文の配信は6月1日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら