中国の電子商取引(EC)業界で、ライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)をめぐる合従連衡が加速している。5月27日、ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)とショート動画アプリ大手の快手科技(クァイショウ)は新たな戦略提携に合意したと発表。両社はライブコマースを支えるサプライチェーンの効率化で協力を深める。
具体的には、快手のユーザーがアプリ上に自分の店を開ける「快手小店」に、京東の自社通販部門から商品を供給する。両社はライブコマース向けの商品在庫を共同でプールし、快手のインフルエンサーたちが商品を選んで販売する(訳注:京東はネット通販のプラットフォームを外部の加盟店に提供すると同時に、商品の仕入れ、販売、配送を自社グループで行う直営通販も手がけている)。
快手によれば今回の提携で、快手のユーザーは快手小店で京東が供給する商品を購入した場合にも、配送状況の確認やアフターサービスの手続きを京東のアプリに切り替えることなく、快手のアプリ上で完結できる。実際の配送やアフターサービスの業務は京東が担当する。
コンテンツやサプライチェーンで協力
現在、ライブコマースの拡大を競うネット企業には2つの流れがある。EC首位の阿里巴巴(アリババ)や京東に代表されるネット通販系と、抖音(TikTok)や快手に代表されるショート動画アプリ系だ。
ライブコマースの草分けはアリババの「淘宝直播」(タオバオ・ライブ)だが、ネット通販系は品揃えや物流管理に強い半面、魅力的なコンテンツ作りはあまり得意ではない。一方、ショート動画アプリ系は創造的なコンテンツで膨大なトラフィックを生み出す力を持つが、商品の在庫管理や品質保証、物流効率化などが後手に回り、多くのトラブルを抱えている。
それだけに、京東と快手の提携は双方にとってメリットが大きい。ライブコマースでアリババの後塵を拝した京東は、快手の助けを借りてトラフィックを急速に延ばすことが期待できる。そして快手は、自社に不足しているサプライチェーンのノウハウを京東に補完してもらえるからだ。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月27日
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