中国の若者「ブラインドボックス」ブームの背景 トップ企業のポップマートは2年で売上10倍

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ポップマートでは自社のオリジナル商品が売上高の8割以上を占める(写真はポップマートのウェブサイトより)

中国では最近、盲盒(ブラインドボックス)と呼ばれる玩具が若者を中心に爆発的ブームを呼んでいる。そのリーディング企業である泡泡瑪特(ポップマート)が6月1日、香港証券取引所にIPO(新規株式公開)を申請。開示資料から、ブラインドボックスの人気ぶりが具体的な数字で浮かび上がってきた。

IPOの目論見書によれば、ポップマートの売上高は2017年の1億5800万元(約24億円)から2019年の16億8300万元(約254億円)へと2年で約10倍に成長。純利益は2017年の160万元(約2420万円)から2019年の4億5100万元(約68億円)へと280倍以上に増加した。純利益の急拡大の背景には、売り上げ増加に伴うスケールメリットに加えて、ポップマートが人気商品の知的財産(IP)をがっちり握っていることがある。

ブラインドボックスは、実際に購入して箱を開けるまで何が入っているかがわからない。ポップマートが手がけるのは潮流玩具(デザイナートイ)と呼ばれるデザイン性の高いフィギュアや組み立て玩具のシリーズで、お気に入りのキャラクターを集める際の不確実性からくるワクワク感が若者の心をつかんだ(訳注:ビジネスモデルとしては日本のカプセル玩具の「ガチャガチャ」に似ている)。

オリジナル商品の売り上げが8割以上

ポップマートは2010年に設立され、2016年から独自のIPを持つオリジナル商品を主力にする戦略に舵を切った。具体的には、独占契約した外部のアーティストにシリーズのキャラクター・デザインを委託し、ポップマートが製品化して直営店で販売する。IPOの目論見書によれば、売上高に占めるオリジナル商品の比率は2017年には29%だったが、2019年には82.1%に上昇した。

なかでもポップマートの代名詞と呼べる人気商品に成長したのが、香港のアーティストのケニー・ウォン氏がデザインした「Molly(モリー)」だ。2019年のモリー・シリーズの売上高は4億5600万元(約69億円)と、総売上高の30%以上を稼ぎ出した。

本記事は「財新」の提供記事です

販売面ではリアル店舗とオンラインの相乗効果に力を入れる。中国本土を中心に150店以上の直営リアル店舗と900台以上の自動販売機を持つ一方、阿里巴巴(アリババ)グループのネット通販大手の天猫(Tmall)や、若者に人気のショート動画アプリの抖音(TikTok)などでも積極的なプロモーションを展開。2019年のオンライン販売の比率は総売上高の32%に達した。

(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は6月1日

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