AIブームで絶好調「TSMC」の業績に死角はあるか 為替の影響と海外投資拡大で粗利率に低下傾向

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AI半導体への旺盛な需要を背景に、TSMCの工場稼働率は高水準を維持している(写真はTSMC提供)

半導体の製造受託(ファウンドリー)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)。同社が7月17日に発表した2025年4~6月期決算は、AI(人工知能)半導体の世界的な需要拡大を背景に大幅な増収増益を記録した。

同四半期の売上高は前年同期比38.6%増の9337億9000万台湾ドル(約4兆7111億円)、純利益は同60.7%増の3982億7000万台湾ドル(約2兆93億円)に達し、アナリストの事前予想の平均値をそろって上回った。

「AIがもたらすコンピューティング能力の需要拡大が、わが社の業績を押し上げている。2025年の通期売上高はドル換算で前年比30%増加するだろう」

TSMCの魏哲家CEO(最高経営責任者)は決算説明会で、そんな強気の見通しを示した。

「H20」の対中輸出再開を評価

アメリカのトランプ政権は6月に開いた中国との通商協議を経て、エヌビディアのAI半導体「H20」の対中輸出の再開を認めた。(訳注:TSMCはエヌビディアからH20を含むチップの製造を受託している)

H20の輸出再開について問われた魏CEOは、「中国は非常に大きな市場であり、わが社の顧客が製品供給を継続できるのは前向きなニュースだ」と評価した。その一方、TSMCの業績への(プラスの)影響については「予想するのは時期尚早」と慎重な姿勢を見せた。

AIブームの追い風に乗るTSMCの業績に死角はないのか。4~6月期決算で市場関係者が注目したのが粗利率の変化だ。同四半期の粗利率は58.6%と、2024年10~12月期の59.0%から2四半期連続で低下。TSMCは7~9月期の粗利率がさらに下がり、56.5%になると予想している。

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