TSMCの粗利率低下の主因は、台湾ドルの対ドル為替レートの上昇と、アメリカや日本で進めている海外工場の建設投資だ。
同社の黄仁昭CFO(最高財務責任者)によれば、台湾ドルの対ドル為替レートが1%上昇すると、TSMCの粗利率は0.4ポイント低下する。そのため、4~6月期決算では為替の影響で粗利率が1.8ポイント押し下げられ、7~9月期は2.6ポイントの押し下げを見込んでいるという。

海外工場の建設投資については、アメリカのアリゾナ州および日本の熊本県での工場建設に伴い、稼働待ちの設備や稼働直後で歩留まりが低い生産ラインが増えた。その結果、TSMC全体では(売上原価の上昇により)粗利益が薄められ、4~6月期の粗利率を1ポイント超押し下げた。
巨額の対米投資が業績左右
TSMCは2025年3月、アメリカへの投資を1000億ドル(約14兆8554億円)上積みすると発表した。アリゾナ州に(シリコンウェハー上に回路を形成する)前工程の工場3カ所、(チップの封入とテストを行う)後工程の工場2カ所、研究開発センター1カ所を追加建設する計画で、既存のプロジェクトと合わせた総投資額は1650億ドル(約24兆5114億円)に上る。

アリゾナ州の前工程の第1工場は、すでに2024年10~12月期から量産を開始。第2工場も建設が完了し、回路線幅3nm(ナノメートル)の半導体の量産立ち上げを進めている。
さらに、2025年後半に着工予定の第3工場と第4工場では、世界最先端の2nmおよび1.6nmの生産を目指している。巨額の先行投資を伴うこれらの工場群を順調に立ち上げられるかどうかが、TSMCの将来の業績を左右することになりそうだ。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は7月18日
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