店舗数激減のミスタードーナツ。「もう100円では売らない」経営陣の覚悟が復活へ導いた3つの改革とは? 人気コラボ企画の裏側も聞いてみた

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スタードーナツ アトレ信濃町ショップ
JR信濃駅に隣接する商業施設に、2024年9月にオープンしたキッチンレスの「ミスタードーナツ アトレ信濃町ショップ」(写真:ダスキン提供)
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載「外食ビジネスのハテナ特捜最前線」。今回は3回にわたって、ミスタードーナツ(ミスド)の強さの秘密に迫ります。
中編の本記事では、「100円セール完全廃止」を決断した経営陣が、ブランド価値回復のために実行した「3つの改革」の舞台裏を深掘りします。
↓↓あわせて読む↓↓
【前編】100円セールを脱却「ミスド」奇跡の復活の裏側
【後編】古風?ミスド「悩み考える経営」常識ハズレの強さ

「ちょっと懐かしいミスド」からの転換

安売り戦略と出店戦略の失敗により、一時は大きく店舗数を減らしたミスタードーナツ。

危機に瀕していた2016年、経営陣は覚悟を決めた。100円セールの完全廃止だ。単なる価格政策の変更ではない。長い歴史を持つ老舗ブランドが自らの価値を見つめ直し、再定義する決断だった。

目指したのは、「ちょっと懐かしいミスタードーナツ」から、商品やサービスを通じて、客にたくさんの“いいこと”を感じてもらえるブランドへの転換。言うは易しだが、実現は簡単ではない。商品、店舗、広告、社員の意識、そのすべてを変える必要があった。

スタートしたのは、「いいことあるぞ ミスタードーナツ」を新スローガンに掲げた3つの改革だ。順番に解説していこう。

1. 季節限定とコラボで商品価値を高める

最初に着手したのは、商品開発の改革だ。

来店のきっかけを増やすためにさまざまな施策が打たれるなかで、期間限定商品も生まれた。春のさくら、秋のさつまいも、栗。その一環として2017年4月にはじまったのが、他ブランドとコラボレーションする「ミスドミーツ(misdo meets)」シリーズである。

それまでミスタードーナツは、自社内だけで開発を行うことを基本方針としていた。だが、「外部と協力して商品開発をすることで、新たな技術などと出会い、今までにないドーナツの価値を提供できるのではないか」と、「共同開発」に舵を切ったのだ。

2025年秋限定の「さつまいもド、くりド」
2025年秋限定の「さつまいもド、くりド」(写真:ダスキン提供)

こだわったのは、「監修を受ける」のではなく、「共同で開発する」スタイルだ。相手の技術を受け継ぎ、人材育成につなげたい狙いもあった。実際、そうやって得た技術を生かした新製品も生まれているそうだ。

【写真】ミスドがブランド価値回復のために実行した「3つの改革」を写真でも(9枚)
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