ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は5月29日、中国の合弁会社「江淮VW」への出資比率を75%に引き上げ、経営権を取得すると発表した。江淮VWには現在、安徽省政府傘下の国有中堅メーカーの江淮汽車とVWの中国法人が50%ずつ出資しており、電気自動車(EV)1車種を生産している。
VWは江淮汽車の親会社である安徽江淮汽車集団控股の株式の50%も同時に取得する。江淮VWの出資比率引き上げと合わせた総投資額は10億ユーロ(約1200億円)を見込んでいる。外資系自動車メーカーによる中国の合弁会社の経営権取得は、ドイツのBMWが2018年10月に遼寧省の華晨汽車との合弁会社「華晨BMW」への出資比率を75%に引き上げると発表したのに続いて2例目となる(訳注:BMWによる華晨BMWの経営権取得は2022年までをめどに行うとされ、現時点では完了していない)。
中国政府は長年、外資系自動車メーカーが完成車を現地生産する場合に中国メーカーとの合弁を義務づけ、合弁会社の出資比率は最大50%、合弁会社の数は2社までに制限してきた。だが、2017年からはEVなどの新エネルギー車に限って3社目の合弁を認めており、さらに2022年までに自動車関連の外資規制を完全撤廃する方針だ。
出資比率の見直しは中国側との力関係次第
江淮汽車に対するVWの追加投資は、こうした政府の規制緩和の流れを受けたものだ。VWは中国市場に最も早く参入した外資系メーカーであり、もともと国有最大手の上海汽車集団との「上海VW」、同3位の中国第一汽車集団との「一汽VW」という2つの合弁会社を持つ。そして2017年12月、3つ目の合弁会社としてEV専門の江淮VWを設立した。
外資系メーカーによる合弁会社の経営権取得は、政策上は可能になったとはいえ現実には中国側パートナーとの力関係に左右される。例えば上海汽車は2019年3月、「上海VWの出資比率の見直しに関する協議は行っておらず、VW側からそのような提案もない」という趣旨の声明を出した。
そこでVWは、相対的に規模が小さい江淮汽車との交渉を優先したとみられている。VWは2025年に中国市場で150万台のEVを販売する目標を掲げており、江淮VWからは同じく2025年までに新型EVを5車種投入する計画だ。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は5月29日
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