中国の新興EV(電気自動車)メーカーの中国恒大新能源汽車集団(恒大汽車)は、9月15日、第三者割当増資と発行済み株式の譲渡の組み合わせで40億香港ドル(約546億円)を調達すると発表した。
出資の引き受け先には中国のネットサービス大手の騰訊(テンセント)、配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)、投資会社の雲鋒基金、アメリカのベンチャー・キャピタル大手のセコイア・キャピタルなどの著名企業が名を連ねる。恒大汽車は調達した資金を経営全般に用いるとしている。
恒大汽車の親会社は不動産デベロッパー大手の中国恒大集団(エバーグランデ・グループ)で、発行済み株式の74.99%を保有している。今回の資金調達では、恒大集団が1株当たり22.65香港ドル(約309円)で最大1億7600万株、金額にして39億8500万香港ドル(約544億円)相当を譲渡する予定だ。その結果、恒大集団の持ち株比率は72.95%に低下するが、筆頭株主の地位は揺らがない。
10~15年以内に年産能力500万台目指す
数ある中国の新興EVメーカーのなかでも、恒大汽車の成り立ちは異色だ。その前身は恒大集団の傘下で病院や老人ホームなどの経営を手がけていた恒大健康産業集団(恒大健康)で、香港証券取引所の上場企業である。
恒大集団は2018年から、恒大健康を通じて自動車事業に参入するための布石を打ち始めた。翌2019年には電池、モーター、車体などEV製造に欠かせないキーコンポーネントの生産会社を一挙に買収。そして2020年9月1日、恒大健康の社名を恒大汽車に変更した。
それに先立つ8月3日、恒大汽車は同時に6モデルの新型車を発表。2021年から続々と市場に投入する計画だという。また、同社は中国内外に10カ所の完成車工場を建設し、10~15年以内に年間生産能力500万台を実現することを目指している。
非常に野心的なもくろみだが、これは長期にわたって莫大な投資が必要であること意味する。恒大汽車は2020年1~6月期に24億6000万元(約382億円)の純損失を計上。同社はその理由として、自動車事業の先行投資の増加を挙げた。今回の資金調達で戦略投資家の呼び込みに成功したことで、将来の資金不足のリスクは幾分緩和されたとは言えそうだ。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は9月15日
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