中国の自動車市場では完成車メーカーの競争激化や電気自動車(EV)に対する政府の補助金削減をきっかけに、弱小メーカーの淘汰が始まっている。そんななか、経営危機に陥った完成車メーカー発の債務不履行(デフォルト)の連鎖が部品メーカーにも及び始めた。
上海証券取引所に上場する電池材料メーカー、容百新能源科技(漢字の略称は容百科技)はその一例だ。同社は6月14日に開示した投資家向け公告で、中堅車載電池メーカーの比克動力電池(BAK)と結んだ6月15日が期限の2億900万元(約31億8000万円)の支払い契約に関して、まだ全額の返済が履行されていないと明らかにした。
容百科技は車載電池の正極材料をBAKに供給しており、2018年には2番目に大きい販売先だった。BAK副総裁の李丹氏は6月15日、容百科技の開示について財新記者の取材に応じ、「完成車メーカーからの債権回収が滞っているため、材料メーカーへの期限どおりの支払いが困難になっている」と釈明した。
華泰汽車には販売実績捏造の疑いも
BAKの資金繰りを悪化させた完成車メーカーとは、衆泰汽車と華泰汽車の2社のことだ。両社はもともとブランド力もマネジメントの水準も低く、2018年以降は死に体に近い窮状に陥っている。
衆泰汽車は2014年からBAKの車載電池を調達していたが、2018年に支払いが滞り始め、2019年前半にはBAKから衆泰汽車の担当者に連絡が取れなくなった。このため債務返済の意思がないと判断し、BAKは衆泰汽車および関連会社に対する訴訟を2019年10月に提起、総額6億2100万元(約94億4000万円)の支払いを求めている。ただし判決はまだ出ていない。
もう一方の華泰汽車は、2018年上半期に10万台以上を販売したと自称していた。だが財新記者が入手した資料によれば、2018年の通年の国内販売台数はわずか2950台にすぎず、実績を捏造した疑いが持たれている。
BAKは華泰汽車および関連会社への3億元(約45億6000万円)余りの債権が回収不能になり、同じく訴訟を起こしていた。李氏によればすでに勝訴判決を得ており、これから差し押さえや清算のステップに入るという。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は6月15日
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