中国で国内航空路線の需要が急回復している。新型コロナウイルスの流行がほぼ収束し、人々に安心感が広がってきたことが背景にある。中国の民間航空行政を所管する中国民用航空局が9月15日に発表したデータによれば、2020年8月の国内航空旅客輸送は延べ4554万人と、前年同月の8割近い水準に戻った。
10月1日の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休の国内線の予約は、9月中旬の時点ですでに満席に近づいている。旅行サイト「去哪儿網」の予想によれば、国慶節の連休期間の国内航空旅客輸送は昨年を10%上回り、過去最高の延べ1500万人超に達する可能性がある。
「大型連休中の航空券の発券枚数はすでに昨年を超え、路線によっては残席がほとんどない」。格安航空会社(LCC)の春秋航空の広報担当者は、財新記者の取材に対してそう証言した。需要急増に応えるため、春秋航空は国慶節期間の輸送力を昨年比49%増強するという。
国際線用の大型機を国内線に転用
一部の人気路線では運賃も値上がりしている。例えばシルクロード観光の人気が高い新疆ウイグル自治区。新型コロナのクラスター発生に伴う旅行制限が9月初めに解除されたこともあり、区都ウルムチと広東省広州を結ぶ路線の国慶節期間の平均片道運賃は2324元(約3万6254円)と、前年同期比12%上昇した。
とはいえ全体的に見れば、運賃はまだ多くの路線で昨年の水準を下回っている。例えば、北京―広州間の国慶節期間の平均片道運賃は857元(約1万3369円)と前年同期比26%下落。北京―上海間は同597元(約9313円)と同24%下落した。
航空業界の複数の関係者によれば、運賃が戻らない最大の要因は座席数の供給増加だ。海外では新型コロナの流行が今も収束せず、中国発着の国際線は大幅な減便が続いている。このため、航空各社は国際線用の大型機を国内線に転用しているからだ。さらに、搭乗率を少しでも上げて運航コストをカバーしようと、航空各社が思い切った格安チケットを売り出していることも影響している。
(財新記者:賈天瓊)
※原文の配信は9月16日
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