中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)が、新型コロナウイルスの流行がもたらした巨額の赤字にあえいでいる。同社が8月31日に発表した2020年1~6月期決算は、売上高が前年同期比23.52%減の4039億3000万元(約6兆1800億円)に縮小し、純損失は前年同期の2億元(約30億円)から桁違いの955億4300万元(約1兆4620億円)に急膨張した。
国鉄集団は(需要の少ない地方路線など)公益的な輸送機能を担っており、毎年度の最終四半期に中国政府から公益輸送の赤字を埋める補助金が支給される。おかげで過去数年間、同社は最終損益の黒字を維持することができた。しかし今年は上半期の赤字があまりにも巨額であり、下半期の経営は未曾有の圧力にさらされている。
巨額赤字の原因は言うまでもなくコロナ禍による輸送需要の激減だ。1~6月期の輸送事業の売上高は前年同期比28.17%減の2828億4200万元(約4兆3270億円)。そのうち旅客輸送の売上高は同52.71%減の892億8000万元(約1兆3660億円)と半分以下に落ち込んだ。また、1~6月期の旅客輸送人員は同53.5%減の延べ8億600万人と同じく半数以下だった。
2020年6月末の負債総額85兆円超
一方、貨物輸送は新型コロナの影響が比較的小さく、1~6月期の売上高は1698億2700万元(約2兆5980億円)と前年同期比3.04%の減少にとどまった。だが、実は同じ期間の貨物輸送量は16億9400万トンと同3.6%増加している。これについて国鉄集団は、中国政府のコロナ対策に従って貨物運賃を値下げしたため、輸送量が増えても売上高は減少したと釈明した。
2020年6月末の時点で、国鉄集団は総額5兆5900億元(約85兆5270億円)に上る負債を抱えている。同社の説明によれば、この負債は主に鉄道網の建設を急ぐための大規模投資を継続している結果として積み上がったが、あくまで(長期的には利益が投資を上回る)優良資産だという。
だが財新記者の調べによれば、国鉄集団は2020年から2022年までの3年間に650億元(約9950億円)の鉄道建設債券、1130億元(約1兆7290億円)の中期社債、1970億元(約3兆140億円)の短期借入金が続々と期限を迎える。輸送需要の急回復が見込めないなか、これらの返済をどう乗り切るのか、プレッシャーは高まる一方だ。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は8月31日
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