中国の海航集団(HNAグループ)傘下の中堅航空会社、香港航空(ホンコン・エアラインズ)の経営危機が再燃している。同社は子会社を通じて発行した総額6億8300万ドル(約725億円)の永久債の利息を7月26日に支払うことになっていたが、その延期を債権者に通知した。
さらに、香港航空は最新の財務諸表を期限までに提出できず、永久債の表面利率が約款に従って5ポイント引き上げられた。その結果、表面利率は7.125%から12.125%に上昇し、年間の金利負担が約3400万ドル(約36億円)増加することになった。
なお、永久債の発行者は利払い延期のオプションを持つのが一般的だ。したがって香港航空の利払い延期は約款違反ではない。しかし約款には、同社が毎年の決算終了後150日以内に監査済みの財務諸表を債権者の代理人に提出しなければならないという条項がある。表面利率の引き上げは、この条項に違反したペナルティーだ。
2019年末にも運航許可取り消しの瀬戸際に
香港航空は経営の混乱と財務の綱渡りが慢性化している。香港政府の航空輸送免許局は2019年12月、同社の財務状況が航空サービスの安定的な継続に深刻な影響を与えているとし、早急に財務を改善しなければ運航許可の取り消しを含む処分を下すと警告した。
その後、中国の政策性金融機関である国家開発銀行を中心とする銀行団が、親会社のHNAグループに40億元(約604億円)のシンジケートローンを提供。その資金の融通により、香港航空は運航許可の取り消しをかろうじて免れた。
だが、その直後に新型コロナウイルスの流行が同社を襲った。運航の大幅縮小を余儀なくされ、すでに400人の従業員を解雇するなど危機は深まる一方だ。香港政府は同社の経営と財務の状況を注視しており、さらなる規模縮小を迫られる可能性が否定できない。
(財新 駐香港記者:尉奕陽)
※原文の配信は7月27日
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