香港の雇用情勢の悪化が止まらない。香港政府の統計局が7月20日に発表した最新データによれば、2020年4~6月の失業人口は24万700人と3~5月の23万400人から1万人余り増加。その結果、4~6月の失業率は15年ぶりの高水準となる6.2%に上昇した。
失業増加はほぼすべての産業セクターに及んでいる。新型コロナウイルス流行の直撃を受けた小売業や観光業を含む「消費および旅行関連業界」の失業率は10.7%と2桁を記録。なかでも飲食サービス業の失業率は14.7%と、新型肺炎SARS(急性呼吸器症候群)が流行した2003年以来の最悪の値となった。
建物の内装業やメンテナンス業、貿易業、倉庫・運送業などでも失業が顕著に増加。金融業、保険業、不動産業など相対的に失業が少なかったセクターでも、4~6月の失業率は4.1%に上昇した。
1日当たり感染者数が初めて100人超え
「4~6月の労働市場の状況は引き続き悪化したが、5月から6月にかけては新型コロナの新規感染が減少し、雇用調整圧力に緩和の兆しが見えた。(雇用主に補助金などを支給する)香港政府の雇用維持プログラムも効果を発揮した」。目下の雇用情勢について、香港政府の羅致光・厚生労働長官はそうコメントした。
だが、状況が好転に向かうかに思われたその矢先、香港は新型コロナ流行の「第3波」に襲われた。7月の感染者数は20日までに500人を突破。7月19日には1日当たりの感染者数が108人と、初めて100人の大台を超えた。
スタンダードチャータード銀行は7月15日、香港の失業率が2020年7~9月期に6~7%程度でピークを迎えると予測する調査レポートを発表した。だが、この予想は新型コロナの第3波に対応した社会活動制限を考慮に含めていない。同行の大中華圏担当シニアエコノミストを務める劉健恒氏は、第3波が雇用に与える影響を見通すことは難しく、「失業率の上昇は年末まで続く可能性も否定できない」という見解を示した。
(財新 駐香港記者:劉雁菲)
※原文の配信は7月20日
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