中国の電子商取引(EC)最大手、阿里巴巴集団(アリババ)の業績が好調だ。同社は8月20日、2020年4~6月期の決算報告を発表。それによれば、同四半期の売上高は前年同期比34%増の1537億元(約2兆3527億円)に達し、アナリストの事前予想を上回った。投資利益やストックオプションなどを除いた非国際会計基準ベースの純利益は、前年同期比28%増の394億7400万元(約6042億円)だった。
新型コロナウイルスの流行は、中国の消費者のECシフトを促進した。アリババはその恩恵を受け、2020年6月末までの1年間のアクティブユーザー数が7億4200万人と、3月末までの1年間に比べて1600万人増加した。また、モバイル機器向けアプリの6月の月間アクティブユーザー数は8億7400万人と、3月に比べて2800万人増加した。
アリババは中国のECプラットフォームのなかで最大のユーザー群を抱えており、見方を変えれば成長の限界に最も近いポジションにある。
「ユーザーがプラットフォーム上で過ごす時間が長ければ長いほど、消費額も増える傾向がある。ユーザーのロイヤルティーを高め、より頻繁に利用してもらうことが肝心で、そのために(アリババとユーザーの間の)インタラクティブな活動を充実させる」。アリババCEO(最高経営責任者)の張勇(ダニエル・チャン)氏は、決算説明会でそう語った。
ライブコマースの流通総額が前年比倍増
目下、ユーザーをアリババに引きつける重要な手立てになっているのがライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)だ。決算報告によれば、「淘宝直播(タオバオ・ライブ)」を通じた商品販売の総額(流通総額)は4~6月期は前年同期の2倍以上に膨張した。
ただ、ライブコマースによる流通総額の増加は新たな需要を創出しているのか、それとも他所の既存需要を奪っているだけなのか、業界内でも意見が分かれている。この点について決算説明会で問われたアリババ執行副主席の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は、質問に正面から答えず、「ライブコマースはECプラットフォームが加盟店に提供する経営ツールの1つという位置づけだ」と説明するにとどめた。
加盟店の多くにとって、ライブコマースはどちらかと言えば(期間限定の)販促活動に近いのが実態だ。というのも、生中継を年中無休で1日24時間続けることは誰にもできないからだ。
加盟店はライブコマースを活用して販売増と顧客獲得を目指し、アリババはライブコマースがもたらす膨大なアクセスから新たな商機を生み出そうと知恵を絞っている。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は8月21日
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