中国の宅配サービス大手の達達集団(ダダ)は6月5日、アメリカのナスダック市場にADS(アメリカ預託株式)を上場した。ADSの公募価格は16ドル(約1750円)に設定され、初日の取引価格は一時10%近く上昇したものの、終値は15ドル99セントと公募価格をわずかながら割り込んだ(訳注:達達のADSはその後も公募割れで推移し、6月15日の終値は15ドル)。
今回のIPO(新規株式公開)では1650万単位のADSを発行。公募価格で計算した資金調達額は2億6400万ドル(約289億円)となり、市場の事前予想値の3億~5億ドル(約328億~約547億円)には届かなかった。達達のADSは1単位=4株で構成されるため、1株当たりの公募価格は4ドル(約438円)となる。これは同社が2018年8月に行ったシリーズFの資金調達時の評価額である1株当たり4ドル28セントを(約468円)下回っている。
達達の大株主は中国のネット通販大手の京東集団(JDドットコム)とアメリカの小売り大手のウォルマートだが、今回のIPOにはこの2社を除いて戦略投資家が参画しなかった。ADS発行後の持ち株比率は京東が45.3%から47.5%に、ウォルマートが同9.5%から10%にそれぞれ増加した。
2年間で売り上げ2.5倍も、純損失が膨張
IPOが低調に終わった背景には、米中関係の悪化や瑞幸咖啡(ラッキン・コーヒー)の不正会計事件などの影響でアメリカの株式市場に上場する中国企業への不信感が高まっていることに加え、達達の事業構造が大株主に大きく依存していることへの投資家の懸念があると見られている。
達達の筆頭株主の京東は、同時に最大の顧客でもある。達達は配達員の確保にクラウドソーシングを活用する宅配サービス会社として2014年に創業し、2016年4月に京東の宅配子会社「京東到家」と合併した。以来、京東のネット通販の配送が主力業務となり、IPOの目論見書によれば2019年の総売上高の50.5%を京東からの売り上げが占めている。
京東の後ろ盾を得て、達達の売上高は2017年の12億1700万元(約187億円円)から2019年の31億元(約477億円)へと2年間で2.5倍以上に拡大した。しかしオペレーションやマーケティングの出費がかさみ、同じ期間の純損失は18億2300万元(約281億円)から24億6500万元(約380億円)に膨らんだ。経営効率を高めて黒字化への道筋を示さなければ、投資家の評価好転はおぼつかない。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は6月6日
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