中国の自動車市場で、輸入車に代表される高級車の売れ行きが大衆車を上回る勢いで回復している。自動車関連サービスを手がける国機汽車が6月1日に発表したデータによれば、2020年4月の輸入車の販売台数は9万2000台と前年同月比1.7%の減少にとどまった(訳注:国機汽車は自動車輸入大手の中国進口汽車貿易を傘下に持ち、輸入車の販売統計を毎月公表している)。
一方、中国汽車工業協会のデータによれば、4月の国産乗用車の販売台数(訳注:外資系合弁メーカーの現地生産車を含む出荷ベース)は153万6000台と前年同月比2.6%の減少だった。関税が上乗せされて割高な輸入車の方が、新型コロナウイルスの流行以前の販売水準により早く戻りつつある格好だ。
しかも、同じ輸入車でもブランドや車格によるばらつきが大きい。国機汽車によれば、(ベンツやBMWなど)高級ブランド輸入車の4月の販売台数は前年同月比3.6%増加し、(スーパーカーなど)超高級ブランド輸入車に到っては同13.0%増と2桁の伸びを記録した。対照的に、大衆車ブランドの輸入車の販売台数は同18.4%のマイナスだった。
中国ブランド車のシェアは6年ぶりの低さに
同じ傾向は国産乗用車にも言える。自動車アナリストの李顔偉氏がまとめた自動車販売店の実売台数ベースのデータによれば、全国の乗用車ディーラーが4月に販売した台数は148万2000台と、前年同月比10.5%減少。しかし高級ブランドのディーラーに限って見ると同11.1%増加した。
高級車ほど販売の回復が早い理由は、新型コロナの流行が消費者の可処分所得や購買マインドに与えた影響が富裕層では小さいためと見られている。逆に言えば、国産乗用車のなかでも相対的に所得が低い層をターゲットにしている中国ブランド車は厳しい状況が続く。
中国汽車工業協会のデータによれば、4月の乗用車販売台数に占める中国ブランド車のシェアは34.6%と6年ぶりの低さに落ち込んだ。中国ブランドの多くは外資ブランドとの競合を避けてローエンド市場に軸足を置いてきたが、「安かろう悪かろう」のイメージを払拭できない弱小メーカーは淘汰の危機にさらされている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月2日
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