新型コロナウイルスの流行による「巣ごもり消費」の拡大が、中国EC(電子商取引)2位の京東集団(JDドットコム)の業績を押し上げた。同社が5月15日に発表した2020年1~3月期の決算報告書によれば、同四半期の売上高は1369億7000万元(約2兆682億円)と前年同期比20.7%の伸びを示し、アナリストの事前予想を上回った。
1~3月期の純利益は10億7000万元(約162億円)と前年同期の73億2000万元(約1105億円)から大幅に減少したが、これは前年同期に57億5000万元(約868億円)の長期投資収益を計上したのが主因。非米国会計基準ベースのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は45億1400万元(約682億円)と、前年同期の32億元(約483億円)の1.4倍に増加した。
巣ごもり消費の恩恵が端的に表れたのが、利用者数の大幅な増加だ。1~3月期の月間平均アクティブユーザー数は前年同期比24.8%増の3億8700万人に達した。京東の小売り部門のCEO(最高経営責任者)を務める徐雷氏によれば、中国で新型コロナが流行した期間は常連ユーザーの利用頻度が増えただけでなく、休眠ユーザーの再利用も多かったという。
6月の「618」セールの成否に注目集まる
利用者数の増加を受けて広告も好調だった。1~3月の広告収入は95億3000万元(約1439億円)と、前年同期比17%増加した。また、京東が自社グループで手がける物流事業は新型コロナの流行期間も商品の配送を続け、1~3月の売上高が65億9000万元(約995億円)と前年同期比53%増の大幅な伸びを記録した。
物流事業に関しては、自社以外の外部顧客から受託した配送の比率が始めて40%を超えた。「京東の物流事業は顧客の信認を得ることができた。中長期的にはより多くの外部顧客を獲得して利益率を高めたい」。グループCFO(最高財務責任者)の黄宣徳氏はそう述べた。
2020年4~6月期に関して注目されるのが、京東が毎年6月に開催する「618」セールの成否だ(訳注:京東の設立日が6月18日であることに由来する大規模なセールイベント)。徐雷氏によれば、ECモールの出店者は今年の618セールへの参加に非常に意欲的だという。中国EC首位の阿里巴巴(アリババ)が毎年11月11日に開く「独身の日」セールと並ぶEC業界の2大イベントのひとつだけに、コロナ後の個人消費の回復度を測る試金石になりそうだ。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月16日
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