中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が、生産能力増強のための資金調達を活発化させている。同社は5月15日、国策ファンドの「国家集成電路産業投資基金」の2号ファンドおよび上海市政府系の「上海集成電路産業投資基金」の2号ファンドと増資引き受けの契約を結んだと発表した。
両ファンドがSMICの子会社の中芯南方集成電路製造(中芯南方)に総額22億5000万ドル(約2420億円)を出資し、株式の34.62%を取得する。増資完了後の持ち株比率はSMICが50.1%から38.52%に低下。一方、国家集成電路産業投資基金は先に出資していた1号ファンドと今回の2号ファンドの合計で37.64%、上海集成電路産業投資基金は同じく1号ファンドと2号ファンドの合計で23.85%となる予定だ。
中芯南方は2016年12月に設立され、上海市の張江ハイテクパークに工場を建設。現在は14nm(ナノメートル)のプロセス技術で月間6000枚のシリコンウエハーを処理する能力を持つ。SMICはこれを月間3万5000枚に引き上げる計画だ。
ファーウェイ制裁で半導体設計会社が国内シフト
SMICの説明によれば、政府系の産業育成ファンドの追加出資を受けることにより、生産能力の増強、最先端の製造プロセスの導入、ハイエンド製品の開発などを有利に進められるという。
同社が生産拡大や製造プロセスのアップグレードを急ぐのは、以前は海外のファウンドリーに向かっていた半導体の生産委託の需要が国内にシフトしつつあることが背景にある。興業証券の調査レポートによれば、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)傘下の海思半導体(ハイシリコン)など中国の半導体設計会社が、調達上のリスクヘッジや中国政府の国産化戦略などを考慮して生産委託の一部をSMICに振り替えている。
とりわけアメリカ政府が2019年5月にファーウェイをエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に加えて以降、中国の半導体業界ではSMICの重要性が高まった。例えばファーウェイのスマートフォン「栄耀 Play 4T」が搭載するハイシリコンのプロセッサー「麒麟710A」は、SMICが14nmプロセスで受託生産したものだ。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は5月16日
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