アメリカ東部時間の5月11日、中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)とアメリカ国防総省は「共産中国軍事企業」への指定をめぐる訴訟で和解に合意し、ワシントンDCの連邦地方裁判所に報告書を提出した。アメリカ国防総省は、シャオミに対する共産中国軍事企業の指定を解除することは適切であり、裁判所が下した仮の差止命令に対して上訴しないとしている。(シャオミの軍事企業指定については、中国スマホ「シャオミ」、米国政府を提訴した訳、を参照)
今後、双方は解除手続きに関する詳細な協議を続け、5月20日までに最終案を作成する。このニュースを受け、シャオミの香港時間5月12日の株価は終値が26.1香港ドル(約366円)と、前日の終値より6%上昇した。
国防総省はシャオミ含む9社をリストに追加
問題の発端は2021年1月、アメリカ国防総省がシャオミを含む中国企業9社を「共産中国軍事企業」のリストに追加したことだった。共産中国軍事企業への指定は、シャオミ株やそれを組み込んだデリバティブの取引が制限を受けることを意味する。具体的には、2021年3月15日以降、アメリカの個人や企業はシャオミ株の新規購入ができなくなり2022年1月15日以降は既保有のシャオミ株の売買もできなくなる。
今年1月末、シャオミはこの規制リストに指定された後に、アメリカ政府を相手取り訴訟を起こした。裁判所に対して、シャオミを「共産中国軍事企業」と認定した行為が違法かつ違憲であると主張するとともに、同リストへの指定の撤回を命じるよう求めたのだ。
シャオミの代理人である弁護士のジョン・ホール氏は3月9日、法廷でアメリカ政府の根拠は、シャオミが国有企業か軍隊に属する企業かどうかではなく、シャオミの年次報告書に記載されたわずか2件の情報にすぎなかったと主張した。その1つはシャオミが中国工業情報化省の表彰を受けたこと、もう1つはシャオミの5G(第5世代移動通信)と人工知能(AI)に対する投資についてだったという。
裁判所は3月12日、国防総省に対して指定の一時差し止めを命じた。裁判官のルドルフ・コントレラス氏は要旨説明の中で、シャオミは民生用の商業製品を製造する株式公開企業であり、中国政府あるいはその国防部門の子会社でも関連会社でもない、と指摘したうえで、シャオミを「共産中国軍事企業」と認定したことは国防総省の権限の範囲を越えており、アメリカの連邦行政手続法に違反している、との考えを示していた。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は5月12日
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