中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)は1月29日、アメリカ国防総省と財務省を相手取り、同社に対する「共産中国軍事企業」の指定の取り消しを求める訴訟をワシントンDCの連邦地方裁判所に提起した。
共産中国軍事企業は、アメリカ政府が「中国人民解放軍に所有または支配されている」と見なす中国企業をリスト化したもので、アメリカの国防予算の大枠を定める国防権限法に基づいて国防総省が指定する。
しかし訴状によれば、シャオミは多数の株主によって所有される株式公開企業であり、独立した経営を行っている。また、同社の商品はすべて民生用のコンシューマー・エレクトロニクス製品だ。中国の政府や軍隊、軍需産業などが同社の経営をコントロールすることはできない。
つまり、国防総省による共産中国軍事企業への指定には根拠がないというのがシャオミの主張だ。にもかかわらず「いかなる合理的な説明も、反論の機会も一切与えられないのは違法であり、アメリカ合衆国憲法に違反している」と、同社は訴えている。
第2位株主の共同創業者にも影響及ぶ
国防総省がシャオミなど9社を共産中国軍事企業に追加指定したのは1月14日のこと。2020年6月以降、同省の指定を受けた中国企業は合計44社に上り、その中には通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)や半導体受託製造(ファウンドリ)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが含まれている。
事実上の禁輸措置であるアメリカ商務省の「エンティティー・リスト」(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)とは異なり、共産中国軍事企業には主に投資面の制裁が課される。具体的には、アメリカの企業や個人は指定企業の上場株式やそれが組み込まれたデリバティブの取引を禁止される。
シャオミにとってその影響は極めて大きい。同社の共同創業者で副董事長(副会長に相当)を務める林斌氏は第2位株主として発行済み株式の9.5%を所有するが、彼の国籍はアメリカだ。
また、株主順位が10位までの大株主の中にはアメリカの機関投資家が3社含まれており、合計6.5%を保有している。仮に投資禁止が発効すれば、これらの株式は一定期間内に売却を迫られることになる。
(訳注:共産中国軍事企業への投資禁止は指定から60日後に発効する。既存の投資家も指定から365日以内に保有株を処分しなければならない)
(財新記者:屈慧、包蕾)
※原文の配信は1月31日
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