アメリカ商務省は12月18日、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反する企業等を列挙した「エンティティー・リスト」に、77の企業や個人を追加指定した。大部分が中国の企業や研究機関だが、そのなかには民生用ドローン世界最大手の大疆創新科技(DJI)の社名もあり、今後の影響に注目が集まっている。
DJIは世界のドローン市場で圧倒的なシェアを握るトップ企業だ。ドイツの調査会社ドローン・インダストリー・インサイツが2020年6月に発表したレポートによれば、商用ドローン市場におけるDJIの世界シェアは70~80%に達している。同リポートによれば、商用ドローンの世界市場は2025年までに428億ドル(約4兆4234億円)規模に拡大する見通しだ。
アメリカ政府は、自国企業がエンティティー・リストに指定された外国企業に対して輸出管理規則が定める製品や技術を許可なく譲渡することを禁じている。仮に輸出許可を申請しても、一部の例外を除いて却下するのが原則であり、事実上の禁輸措置になっている。
影響の大きさは禁輸措置の運用次第
財新記者の取材に応じたあるドローンの専門家によれば、中国企業が生産しているドローンにはアメリカ由来の技術が使われた半導体が多数搭載されている。ただ、DJIへの影響を予想するには禁輸措置の実際の運用を見守る必要があるといい、次のように指摘する。
「ドローン用の半導体には、通常は最先端のプロセス技術は使われていない。大部分のチップは線幅22~40ナノメートルの成熟した技術で製造されたものだ。仮にこれらのチップも禁輸措置の対象に含まれる場合、DJIへの打撃は非常に大きい」
なお、DJIがアメリカ政府に煮え湯を飲まされるのは今回が初めてではない。例えば、アメリカ内務省はDJIのドローンのセキュリティー試験を行って合格のお墨付きを与えていた。
にもかかわらず2019年10月、同省は「サイバーセキュリティー上の安全を確保するため」との理由で、保有する約800機の外国製ドローンの使用を緊急時を除いて禁止した。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は12月19日
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