アメリカ政府が中国の半導体産業に対する圧力を強めている。アメリカ国防総省は12月3日、中国の半導体受託製造(ファウンドリ)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)を含む中国企業4社を「共産中国軍事企業」のリストに加えたと発表した。
国防総省は声明のなかで、ブラックリストに列挙された企業は表向き民間企業のように見えるが、中国軍に対して先端テクノロジーを提供し、軍事技術の現代化のプロセスを支援していると主張した。
これに対してSMICは、中国時間の12月4日早朝に声明を発表。国防総省のリスト指定に対して懸念を表明するとともに、「経営に与える影響について評価している」とした。
なお今回、SMICとともにリスト指定を受けたのは国有石油大手の中国海洋石油(CNOOC)、国有建設大手の中国建設科技(CCTC)、国有エンジニアリング大手の中国国際工程諮詢(CIECC)の3社だった。
「中国軍とは関係ない」と改めて強調
「共産中国軍事企業」は、アメリカの国防予算の大枠を定める国防権限法に基づいて国防総省が2020年6月に新設したリストだ。これまでにも中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)、通信キャリア最大手の中国移動(チャイナモバイル)、国策宇宙開発企業の中国航天科工などが指定され、今回の4社を加えて合計35社となった。
近年の米中関係の緊張を背景に、アメリカ政府は中国のハイテク企業に対する制裁措置を連発している。2019年以降、ファーウェイや監視カメラ大手の海康威視数字技術(ハイクビジョン)など多数の中国企業がエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加された。
SMICに関しては今年10月、アメリカ商務省産業安全保障局が半導体の製造装置や原材料のサプライヤーに対して、SMICと取引する際は事前に輸出許可を申請するよう命じていた。今回の“軍事企業”への指定は、それに続く圧力強化だ(訳注:国防総省のリスト指定はSMICとの取引を直接的に禁じるものではないが、影響は避けられないとみられる)。
同社の共同CEO(最高責任者)を務める趙海軍氏は11月12日に発表した2020年7~9月期決算の説明会で、アメリカ製の装置の部品や原材料の納入が遅れている事実を認めた。そのうえで趙氏は、「SMICは民間の顧客にだけ製品とサービスを提供しており、中国軍との取引はまったくない」と改めて強調していた。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は12月4日
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