中国半導体「SMIC」で相次ぐ幹部交代の深刻度

董事長の周子学氏が「健康問題」を理由に退任

SMICは董事長(会長に相当)として6年余り同社を率いた周子学氏が、健康上の問題により退任したと発表した。写真は上海市にあるSMIC本社(同社提供)

中国の半導体業界で注目すべきトップ人事が発表された。9月3日夕方、半導体受託生産(ファウンドリー)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が、同社董事長(会長に相当)の周子学氏が健康上の問題を理由に退任したと明らかにしたのだ。周氏の職務はCFO(最高財務責任者)の高永崗氏が董事長代理として引き継ぐ。なおSMICは、周氏が引き続き取締役を務めるとしている。

周氏は2015年3月、高齢を理由に引退した張文義氏からSMICの経営を託された。同社に移籍する以前は、中国政府で半導体業界を含む産業政策を統括する工業情報化省の高級幹部を長く務めていた。

調査会社の芯謀研究のチーフアナリストを務める顧文軍氏は(周氏の退任が発表された直後)、自社のSNSアカウントを通じて「周氏は過労により体調を崩した」との見方を示した。顧氏によれば、周氏は2020年から医師の治療を受けており、最近は数回の検査入院をしていたという。

周氏がSMICを率いた6年余りの間に、同社の先端プロセス技術は飛躍的な進歩を遂げた。業績面では、(就任時の)2015年の売上高22億3600万ドル(約2454億円)を2020年には約1.7倍の39億700万ドル(約4287億円)に、2015年の純利益2億5300万ドル(約278億円)を2020年には約2.8倍の7億1600万ドル(約786億円)に引き上げ、2020年7月には上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板」への上場も果たした。

アメリカの制裁リスト入りで深刻な影響

一方、周氏の任期後半には、(SMICを取り巻く)国際的な経営環境に大きな変化が起きた。その最たるものは2020年12月、アメリカ政府がSMICをエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加したことだ。これにより、同社は生産設備などの調達で深刻な影響を受けている。

本記事は「財新」の提供記事です

SMICでは2020年末以降、経営幹部の頻繁な交代が目立つ。同社は2020年12月、ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)で長年CTO(最高技術責任者)を務めた蒋尚義氏をナンバー2として迎え入れた。だが、この人事は共同CEO(最高経営責任者)の梁孟松氏の不興を買った。SMICは当時、蒋氏の移籍と同時に梁氏が辞職予定であると発表したが、梁氏は慰留を受けて結局辞職を撤回した。

2021年7月には、SMICの研究開発部門のナンバー2だった呉金剛氏が突然辞職したことが明らかになった。呉氏は創業間もない時期に入社した生え抜きで、同社の先端プロセス技術開発のキーパーソンだった。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月4日

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