中国のディスプレーパネル最大手の京東方科技集団(BOE)は8月30日、2021年1~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比89.04%増の1072億8500万元(1兆8217億円)、純利益は同11.2倍の127億6200万元(2167億円)と大幅な増収増益を達成。上半期の業績としては過去最高記録を更新した。
パネル市場は2020年後半から息の長い価格上昇サイクルに入り、2021年前半も上昇を続けた。その結果、BOEだけでなく中国のパネル2位のTCL科技集団(TCL)の業績も、1~6月期は売上高が前年同期の2.53倍、純利益は同5.61倍に拡大した。
価格上昇の流れは2021年後半も続くのだろうか。市場調査会社のシグマインテルが8月上旬に発表したレポートによれば、(パネル業界全体の)生産能力が増強されるとともに、需給逼迫は緩やかに改善しているという。
さらに同レポートは、(液晶テレビなどパネルが組み込まれた)コンシューマー製品の在庫が膨らんでいることを指摘。2021年後半のコンシューマー向け市場は供給過多に転じつつあると分析した。
株価に透ける投資家の不安
「テレビ向けの液晶パネル市場で在庫が増加し、販売価格が下落しているのは事実だ。しかし業界の健全な発展は、市場(の需給バランス)から乖離した価格上昇が続くことでもたらされるものではない。テレビ向けパネルの価格下落は、これまでの価格上昇が早すぎたことの調整という側面もある」。BOE董事長(会長に相当)の陳炎順氏は、パネル市場の現状についてそう述べたうえで、次のように強調した。
「パネル価格が弱含むなかでも、わが社は比較的高い収益力を維持できている」
BOEの副総裁(副社長に相当)を務める高文宝氏は、さらに一歩踏み込み、「将来の成長は技術力の向上や製品ラインナップの最適化を通じて実現する。(他社と)似たような製品で価格競争するつもりはない」と語った。
しかし株式市場では、パネル業界の景気の先行きに対する投資家の不安が、すでに株価に織り込まれつつある。業績好調にもかかわらず、BOEの株価は直近3カ月で8%以上も値を下げた。TCLの株価も、同じ期間の下落率が12%を超えている。
(財新記者:翟少輝、周叢浩)
※原文の配信は8月31日
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