中国の電子部品大手の欧菲光集団(オーフィルム)は3月16日、海外の「特定の顧客」から取引停止の通告を受けたと発表した。同社の既存事業のすべてで、今後、この顧客からの受注はなくなるという。
この「特定の顧客」とは、スマートデバイスで世界最強のブランド力を誇るアメリカのアップルだ。オーフィルムにとってアップルは、2019年の売上高の22.51%をもたらした大口顧客であり、その額は116億8900万元(約1960億円)に達していた。
2002年創業のオーフィルムはカメラモジュール、光学レンズ、タッチパネル、指紋センサー、3次元センサーなどの開発・販売を手がけ、その製品はスマートフォンやタブレット、カーエレクトロニクスなどの分野で広く使われている。
同社は2016年11月、日本のソニーから中国の生産会社「ソニー電子華南」を2億3400万ドル(約255億円)で買収し、アップルのサプライヤーのポジションを獲得した。ソニー電子華南は主力製品のカメラモジュールをアップルに供給しており、それが買収後も継続されたからだ。
アメリカ政府のエンティティーリスト指定で暗転
ところが2020年7月、オーフィルム傘下の「欧菲光科技」がアメリカ政府のエンティティーリスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加された。その直後から、業界内ではオーフィルムがアップル関連の事業を売却するのではないかとの噂が絶えなかった。
2021年1月25日、オーフィルムはアップル関連事業の売却方針を正式に発表。売りに出された子会社4社の総資産は合計113億元(約1895億円)、純資産は38億元(約637億円)に上る。
さらに2月7日、オーフィルムは4子会社のなかの1社でソニー電子華南から社名変更した「得爾塔影像技術」の売却について、スマートフォンのODM(相手先ブランドによる設計・製造)大手の聞泰科技(ウィングテック)との間で意向表明書にサインしたと発表した。
オーフィルムによれば、聞泰科技への売却交渉はまだ継続中であり、その過程でアップルから取引停止を通告された形になる。双方は売却交渉に与える影響を調査しているが、先行きは予断を許さないという。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は3月17日
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