低価格を売り物に急成長を遂げた中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)。その創業トップの黄崢氏が、董事長(会長に相当)職を予定より前倒しで退任することがわかった。
3月17日、董事長から株主に宛てた2021年度のレターのなかで、黄氏自身が明らかにした。後任の董事長には現CEO(最高経営責任者)の陳磊氏が就任する。このニュースが伝わると、アメリカのナスダックに上場する拼多多のADS(アメリカ預託株式)は急落。同日の終値は149.46ドル(約1万6302円)と、前日の終値より7.1%値下がりした。
注目されるのは、黄氏の退任が拼多多の経営権に及ぼす影響だ。同社は1株当たりの議決権に差をつけた「種類株」を発行しており、A種株式には1株に1票、B種株式には1株に10票の議決権が付与されている。
黄氏は筆頭株主であると同時に、保有状況が開示されている大株主のなかで唯一のB種株式の保有者だ。2020年7月時点の開示情報では、黄氏は拼多多の発行済株式の29.4%、議決権の80.7%を握っていた。
しかし株主宛のレターによれば、黄氏の退任とともにB種株式の10倍の議決権は失効し、黄氏の保有株の議決権は取締役会に委任されるという。また、黄氏は今後少なくとも3年間は保有株を売却しない旨を表明した。
「パートナー」として影響力を維持か
黄氏の退任そのものは既定路線だった。2020年7月1日、黄氏は創業メンバーの1人で当時はCTO(最高技術責任者)だった陳氏にCEO職を禅譲し、自身は董事長に就任。黄氏は董事長職についても丸1年かけて陳氏に引き継ぐ計画を公にしていたが、それを4カ月前倒しした格好だ。
「拼多多が10年後も高速かつ高品質の発展を続ける企業であるため、模索を始めるなら今がその時だ。自分は創業者として、10年後に向けたさまざまな試行錯誤をする役割を担いたい」。黄氏はそう語り、退任後は食品科学や生命科学の研究に取り組むとしている。
とはいえ、黄氏は今後も経営への影響力を維持する可能性がある。拼多多は中国EC最大手の阿里巴巴(アリババ)をまねて、取締役会とは別に「パートナーシップ」と呼ばれる企業統治の仕組み(訳注:詳しくは『ジャック・マー氏が「アリババ」の取締役を退任』参照)を導入している。
黄氏が今後もパートナーにとどまるのかどうかについて、拼多多は回答を避けた。また前述の株主宛のレターにも、黄氏のパートナーとしての去就に関しては記されていない。
(財新記者:関聡、沈欣悦)
※原文の配信は3月18日
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