中国のネットサービス大手の騰訊(テンセント)は11月12日、2020年7~9月期の決算報告を発表した。同四半期の売上高は前年同期比29%増の1254億元(約1兆9964億円)、純利益は同89%増の385億4300万元(約6136億円)に達し、いずれもアナリストの事前予想を上回った。
7~9月期の純利益が急増した背景には投資事業の好調がある。ネット出前大手の美団点評や電子商取引(EC)大手の拼多多などテンセントが投資している上場企業の株価が上昇した恩恵で、出資先の上場企業の時価総額が8907億3000万元(約14兆1804億円)と前年同期比22%増加した。
その結果、投資収益の一部として115億5100万元(約1839億円)が純利益に計上された。なお、投資収益や無形資産の償却などを控除・調整した非国際会計基準の純利益は、前年同期比33%増の323億300万元(約5143億円)だった。
フィンテックの戦略は見直さず
一方、事業規模の成長に最も貢献したのはスマートフォン向けなどのオンラインゲームだ。7~9月期のゲーム事業の売上高は414億2200万元(約6594億円)と前年同期比45%増加し、総売上高の33%を占めた。タイトル別では「王者栄耀(オーナー・オブ・キングス)」や「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」が引き続き高い人気を集めた。
その他の事業分野もおしなべて好調だった。7~9月期のSNS(交流サイト)事業の売上高は前年同期比29%増の283億8000万元(約4518億円)、広告収入は同16%増の213億5100万元(約3399億円)、フィンテックおよび法人向けサービス事業は同24%増の332億5500万元(約5294億円)をそれぞれ記録した。
なおフィンテックに関しては、中国の金融監督当局が消費者向け小口金融への監督・規制を強化する方針を打ち出したことや、アリババ傘下の螞蟻集団(アント・グループ)の新規株式公開が延期されたことなどから、テンセントの事業戦略に対しても影響が懸念されている。同社総裁(社長に相当)の劉熾平氏は、業績説明会で次のようにコメントした。
「フィンテック事業を見直す考えはなく、コンプライアンスを堅持しながら現在の金融事業戦略を着実に推進していく。と同時に、リスク管理や融資規模の適正化に一層の注意を払う。テンセントの(ゲームやSNSなどの)ユーザーに金融商品を積極的に売り込むようなことはしない」
(財新記者:銭童)
※原文の配信は11月12日
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