中国の電子商取引(EC)最大手、阿里巴巴集団(アリババ)は11月6日、2020年7~9月期の決算報告を発表した。それによれば、同四半期の売上高は1550億6000万元(約2兆4234億円)と前年同期比30%増加。しかし増加率は直前の4~6月期より4ポイント縮小した。
同四半期の純利益は287億7000万元(約4514億円)と、前年同期比60%減少した。ただし、この減益は2019年7~9月期に傘下のフィンテック企業、螞蟻科技集団(アントグループ)の株式取得に伴う評価益を一時計上したことによるものだ。それを含む臨時損益やストックオプションを除外した非国際会計基準ベースの純利益は470億8800万元(約7388億円)と、前年同期比44%増加した。
中国の3大ECプラットフォーム(訳注:アリババ、京東集団[JDドットコム]、拼多多[ピンドゥオドゥオ]の3社を指す)のなかで、アリババは最大規模のユーザー群を擁する。それだけに、ユーザー数をさらに伸ばす余地は減りつつある。モバイル端末を通じた9月の月間アクティブユーザー数は8億8100万人と、6月に比べてわずか700万人の増加にとどまった。
ネット通販「淘宝」のアプリ刷新に着手
事業別ではグループ総売り上げの8割以上を占めるEC事業の売上高が、7~9月期は1309億2200万元(約2兆542億円)と前年同期比29%増加した。最大の収入源は、主にプラットフォームの加盟店が支払う販売手数料や販促サービス料で構成される「顧客管理収入」であり、グループ総売り上げの45%を占めている。
ユーザー数が伸び悩むなかでも事業の成長を確保するため、アリババは9月末から消費者向けネット通販「淘宝(タオバオ)」のスマートフォン用アプリの大がかりな刷新に着手した。個々のユーザー向けにパーソナライズされたおすすめ商品の情報を画面のより目立つ位置に表示するなど、さまざまなアップデートを1年がかりで進める計画だ。
なお、7~9月期のEC事業の利益率は35%と、前年同期の38%から3ポイント低下した。アリババCFO(最高財務責任者)の武衛氏によれば、これは直営ビジネスの拡大(とそれに伴う先行投資の増加)が理由だという。電話による業績説明会で、武氏は次のように説明した。
「利益率は下がったものの、利益の絶対額は前年同期より28%増えた。アリババは新たな顧客を獲得するため営業やマーケティングに積極投資しており、利益額の増加はそれを反映している。これはわれわれが自ら望んで選んだ道だ」
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は11月6日配信
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