中国国家統計局は11月16日、2020年10月の主要経済指標を発表した。それによれば、中国経済は新型コロナウイルス流行時の落ち込みから回復する勢いが加速しており、工業生産や固定資産投資など多くの項目の数値が事前予想を上回った。ただし、消費の回復に関してはまだ期待を下回る状態が続いている。
生産サイドの指標を見ると、内需と外需の同時回復に助けられ、10月の工業生産増加額は前年同月比6.9%増加、2カ月連続で今年の最高値を記録した。サービス業も全面回復に近い様相だ。10月のサービス業生産指数は同7.4%増と、新型コロナ発生前の2019年10月の同6.6%を上回った。
需要サイドも力強い回復を見せている。10月の輸出額は前年同月比11.4%増と事前予想を上回り、伸び率が5カ月連続で拡大した。数カ月前まで輸出増加の主役だった(マスクなどの)防疫物資やテレワーク関連製品の伸びは徐々に鈍化する一方、玩具などの労働集約型製品や機械およびエレクトロニクス製品の輸出が回復しつつある。
金融緩和の縮小を検討すべき段階に
内需関連の指標では、予想を上回る固定資産投資の伸びが目を引いた。複数のシンクタンクの推計によれば、10月単月の固定資産投資は前年同月比12.2%増加。内訳は不動産投資が同12.7%増、インフラ投資が同7.3%増、製造業の設備投資が同3.7%増だった(訳注:国家統計局は年初から当月までの累計値のみを公表しており、それを基にシンクタンクなどが単月の値を推計している)。
一方、消費の回復は予想よりも遅れている。10月の消費は前年同月比4.3%増と、伸び率は直前の9月から1ポイントの拡大にとどまった。ただし飲食業の売り上げが同0.8%増と、「コロナ後」に初めてプラスに転換したのは朗報だ。
中国チーフエコノミスト・フォーラム理事の李奇霖氏の見方によれば、物価変動の要素を除いた足元の消費は必ずしも悪くないという。李氏が試算した10月の消費の実質増加率は前年同月比4.6%増と、新型コロナの流行が拡大する前の2019年12月の同4.5%を上回った。
なお、元財政相で全国政治協商会議外事委員会の主任を務める楼継偉氏は、経済指標の発表に先立つ11月13日に北京で開催されたフォーラムで次のような見解を示した。
「中国経済は金融緩和政策の段階的な縮小を検討すべき段階まで回復した。しかし(金融政策の転換は)直ちにではない。財政支出の拡大はまだ続ける必要がありそうだが、来年の拡大幅はいくぶん縮小するかもしれない」
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は11月16日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら