中国国家鉄路、7~9月の旅客輸送が大幅に回復 コロナ発生後初めて四半期損益が黒字に転換

✎ 1〜 ✎ 287 ✎ 288 ✎ 289 ✎ 最新
拡大
縮小
国家鉄路集団はコロナ禍の中でも高速鉄道などの新線建設を積極的に進めた(写真はイメージ)

中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)は10月30日、2020年7~9月期の業績を発表した。それによれば、今年1~9月の累積売上高は6794億6400万元(約10兆5996億円)と前年同期比16.12%減少。純損益は787億1100万元(約1兆2279億円)の赤字となり、前年同期の赤字額1700万元(約2億6520万円)の実に4629倍に拡大した。

にもかかわらず、国鉄集団はこの業績について「予想を上回った」と前向きに自己評価した。というのも、(中国で新型コロナウイルスへの不安が和らいだ)7~9月期に入って業績が急速な改善を見せたためだ。同期の売上高は前年同期比2.25%減の2755億3400万元(約4兆2983億円)と、前年並みに近い水準まで回復。税引き後利益はコロナ発生後で初めて168億3200万元(約2626億円)の黒字に転換した。

なお、コロナ禍が鉄道輸送に与えた深刻な打撃により、国鉄集団は2020年の1~3月期に613億7600万元(約9575億円)、4~6月期に341億6700万元(約5330億円)の純損失をそれぞれ計上した。これは(旧中国鉄道省の解体に伴って)2013年に同社が発足して以来最大の赤字額だ。

貨物輸送の拡大も業績回復後押し

7~9月期の業績改善は、旅客輸送の目覚ましい回復によるところが大きい。中国では経済再開が進む中でも新型コロナの再流行が抑え込まれており、鉄道の利用者数が右肩上がりに増加した。国鉄集団によれば、7~9月期の旅客輸送人員は延べ6億9200万人。前年同期比ではまだ約3割少ないが、直前の4~6月期比では66.3%の大幅増を記録した。

本記事は「財新」の提供記事です

さらに貨物輸送の増加も業績回復を後押しした。新型コロナの発生後、国鉄集団は旅客輸送の落ち込みを補うため貨物輸送の拡大に力を入れた。その成果が現われ、7~9期の貨物輸送量は前年同期比7%増の9億3100万トン、貨物輸送の売上高は前年同期比5.52%増の949億1600万元(約1兆4807億円)を達成した。

国鉄集団はコロナ禍の中でも鉄道の新線建設を積極的に進め、今年1~9月の累計固定資産投資額は前年同期比0.3%減の5531億元(約8兆6284億円)に達した。同期間には新たに1926キロメートルの路線が運行を開始し、15路線の建設工事が着工した。

(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は10月31日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT