中国では最近、若い消費者を中心にライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)が爆発的な人気を集め、ありとあらゆる商品が売られる状況になっている。かつては対面販売が主流だった金融商品の販売にもライブコマースが浸透しつつあり、これは一面では販売手法のイノベーションだが、同時に多くのリスクも内包している。
そんななか10月28日、中国の銀行と保険会社を監督する銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が「金融ライブコマースのリスクを予防するための提示」と題した通知を出し、消費者に注意を喚起した。この通知によれば、金融商品のライブコマースには①販売主体が不透明で潜在的な詐欺の可能性がある、②ライブコマースの(扇動的な)売り方が消費者の誤解を招く可能性がある、という大きく2つのリスクがあるという。
具体的には、ライブコマースのプラットフォームは新規アカウントを開設する際の制限やチェックが甘く、無資格業者が金融商品を勝手に販売したり、資格があっても許される範囲を超えて販売したりするケースが見られる。「IT企業」や「投資助言会社」を自称する悪徳業者による、仮想通貨や外貨取引、投資信託などへの投資を勧誘する詐欺も横行している。
金融機関もライブコマースを積極活用
それだけではない。プラットフォームの運営者がユーザーを引き付ける目的で、「利用料を前払いすれば高利回りの配当が得られ、いつでも引き出すことができる」などと宣伝して違法に資金を集める事例もある。消費者はライブコマースの司会者が醸し出す(熱狂的な)雰囲気にあおられ、金融商品の提供主体の不透明さや商品設計のリスクを理解しないまま、衝動的に投資してしまうケースが後を絶たない。
銀行、保険会社、資産運用会社などの伝統的な金融機関も、ライブコマースやショート動画を活用した金融商品の販売に積極的に乗り出している。新型コロナウイルス流行の影響で、顧客に対面でセールスする機会が大幅に減ってしまったためだ。銀保監会は、こうした金融機関でも一部の部門や営業マンが不適切なセールスを行っているとして、消費者に十分な注意を促した。
消費者の誤解を招くライブコマースの特徴について、銀保監会は①ウソまたは誇張した宣伝、②商品コンセプトのすり替えや単純化による利益の強調、③情報開示やリスクの説明の不足、という3点を挙げた。そのうえで銀保監会は、消費者自身がリスク予防の意識を高め、衝動的な投資を決してしないよう呼びかけている。
(財新記者:武暁蒙)
※原文の配信は10月28日
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