「3年前は話題にも上らなかったライブコマースが、2019年は前年比3倍以上の爆発的成長を遂げた。市場規模は4000億元(約6兆1000億円)を突破し、今やオンライン小売り市場の4%、小売り市場全体の1%を占めている」
6月30日、コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーと調査会社のカンター・ワールドパネルは共同で「中国消費者レポート 2020」を発表し、中国でのライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)の隆盛ぶりを強調した。
レポートによれば、2019年のライブコマースの市場規模は4200億元(約6兆4000億円)と、2018年の1300億元(約2兆円)の3.2倍に急拡大。そのうち最大手の淘宝直播(タオバオ・ライブ)だけで2000億元(約3兆円)以上を売り上げた。人気の高まりの背景には、消費者の間でコストパフォーマンスに優れた商品や個性的なブランドを求める傾向が強まっていることや、ライブストリーミングの技術やノウハウが成熟し、ライブコマースを通じて販売される商品の幅が広がっていることなどがあるという。
新型コロナで消費のオンラインシフト加速
また、レポートは新型コロナウイルスの流行が日用消費財(訳注:食品、洗剤、化粧品など比較的短期間で消費される商品群)の売れ行きや消費者の購買行動に与えた影響についても分析した。それによれば、中国での新型コロナの流行期に重なる2020年1~3月の日用消費財の販売額は前年同期比6.7%減少。しかしさまざまな商品の販売がおしなべて減ったわけではなく、カテゴリーによるばらつきが目立った。
例えば、新型コロナの流行期には洗剤や調味料など生活必需品のニーズが高まり、その需要はロックダウン(都市封鎖)が解除された後も堅調に推移している。冷凍食品やボトル入り飲料水など買いだめがきく商品は、コロナ流行期には販売が急増したがロックダウン解除後は落ち着いた。一方、コロナ流行期に大きく落ち込んだビール、スキンケア用品、ペットフードなどは、ロックダウン解除後に需要がV字回復したという。
「新型コロナの流行は消費のオンラインシフトを加速させた。消費者はロックダウンの期間中はネットショッピングに頼らざるをえなかったが、ロックダウンが解除されてリアル店舗が営業を再開しても、引き続き多くの人々がネット上で買い物を続けている」。レポートの共著者の1人でベインのパートナーを務めるブルーノ・ラネス氏はそう指摘した。
(財新記者:孫良滋)
※原文の配信は6月30日
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