中国の半導体受託製造(ファウンドリ)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は7月中旬にも上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」に株式を上場する。同社は最大で532億元(約8086億円)を調達する計画で、2019年7月に開設された科創板では過去最大の上場となる。
それに先立つ7月6日、SMICは機関投資家向けの事業説明会をオンラインで開催した。そのなかでひときわ注目を集めたのが、同社のEUV(極端紫外線)露光装置の調達計画に関する質疑応答だった。SMIC董事長(会長に相当)の周子学氏は、「現時点での生産や研究開発にEUV露光装置は必要ないが、調達計画に変更はない」と説明した。
露光装置は微細な電子回路をシリコンウエハー上に焼き付ける機械で、半導体製造の中核を成す設備のひとつだ。SMICは2019年10~12月期から14nm(ナノメートル)のプロセス技術による量産を開始し、さらに12nmの技術開発を進めている。だが世界のリーデング企業と比較すると、SMICのプロセス技術は3世代遅れている。ファウンドリ世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、すでに今年上半期から5nmの量産を開始した。
アメリカからの設備調達は今のところ正常
SMICの目下のプロセス技術ではEUV露光装置は不要だが、将来7nmや5nmの量産を実現するには導入が不可欠になる。現時点でEUV露光装置を実用化できたのは露光装置世界最大手のオランダのASMLしかなく、生産台数は年間30台に満たない。このため、世界中の大手半導体メーカーが先を争って発注している。
実はSMICもすでにEUV露光装置を発注しており、当初は2019年末に納入される予定だった。しかしまだ実現していない。最先端の露光装置の輸出にはオランダ政府の許可が必要であり、ASMLは2019年11月に「政府の承認を待っている段階だ」と明らかにした。
このような外国製の最先端設備や原材料の調達リスクこそ、SMICの将来について投資家が最も危惧するポイントだ。なかでもアメリカ政府が中国企業に対する輸出規制を強めていることは、SMICの経営に予想困難な悪影響を及ぼす可能性が否定できない。
だが事業説明会で周氏は、SMICは法令を遵守した経営を堅持しているとし、「アメリカ企業からの設備や原材料の調達は現時点まで正常に履行されており、今年の経営目標や生産計画への影響はない」と強調した。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は7月6日
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