アメリカ政府は5月15日、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁強化を発表した。それから3日間の沈黙を経て、ファーウェイ経営陣が初めて公の場でコメントを発した。
「わが社のビジネスが重大な影響を受けるのは避けられない。しかし過去1年の試練を経て、われわれはより強くなった。できるだけ早く解決法を見つけ出せると確信している」
ファーウェイ輪番会長の郭平氏は5月18日、本拠地の深圳市で開いた年に一度のアナリスト向けカンファレンスでそう述べた。なお郭氏によれば、新たな制裁はまだ不明瞭な部分が多く、ファーウェイのビジネスに対する影響の度合いについて現時点で具体的な判断を下すことはできないという。
1年前の2019年5月16日、アメリカ商務省はファーウェイをエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に加えた。これにより、アメリカ由来の技術やソフトウェアが25%以上使用された製品をファーウェイや子会社の海思半導体(ハイシリコン)に販売する場合、商務省の許可を得なければならなくなった。対象製品の事実上の禁輸措置である。
新たな制裁には120日の猶予期間も
今回の制裁強化では、禁輸措置の対象がさらに広がった。ファーウェイやハイシリコンの設計に基づき、アメリカ由来の技術やソフトウェアを使用して製品を生産する場合、アメリカ国外で作られるものを含めて商務省の許可が必要になる。
現在の半導体産業では、チップの設計や製造の過程でアメリカ製の設計ソフトや製造装置が広く使われている。アメリカ政府はこの実態を利用し、半導体受託生産の世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などがハイシリコン向けの生産を受託できないようにすることを狙ったとみられている。
ファーウェイは郭氏のコメントとは別の公式声明で、アメリカの制裁強化について「半導体産業などのグローバルな協業の信頼関係を基底から壊すもので、他国の企業がアメリカの技術を利用しにくくなり、最終的にはアメリカ自身の利益にならない」と強く反発した。
ただし、新たな制裁には120日の猶予期間が設けられている。すでに契約済みの対象製品の販売が直ちに差し止められることはない。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は5月18日
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