フランスの自動車大手、グループPSAの中国事業が窮地に瀕している。販売不振による工場の稼働率低迷を受け、PSAと中国の東風汽車集団の合弁会社である神龍汽車の工場資産の一部を売却する計画が進んでいることが明らかになった。
財新が入手した武漢経済技術開発区管理委員会の文書によれば、地元政府が神龍汽車の遊休資産を買い取ることで資金繰りを支援する意向を示している。神龍汽車はPSAと東風汽車集団が50%ずつ出資して1992年に設立され、武漢経済技術開発区内に本社を構える。工場は湖北省武漢市に3カ所、四川省成都市に1カ所の合計4カ所ある。
神龍汽車はPSAの2大ブランドであるプジョーとシトロエンの乗用車を現地生産しているが、2019年の販売台数は11万3600台と前年の半分以下に激減した。東風汽車集団の年次報告書によれば神龍汽車は年間39万台の生産能力を持ち、工場の稼働率は30%を割り込んでいる。
販売不振で2019年は813億円相当の赤字
PSAは2019年の決算報告書で、同年の神龍汽車が約7億ユーロ(約813億円)の赤字だったと明らかにした。さらに2020年に入ると、中国での新型コロナウイルスの流行で凋落に拍車がかかった。1~4月の販売台数はわずか1万1607台に落ち込み、神龍汽車の赤字はますます膨張している。
武漢経済技術開発区管理委員会の文書によれば、地元政府は神龍汽車の武漢第1工場の資産査定を4月から開始し、7月に売買契約を結ぶことを目指している。神龍汽車の2020年の固定資産税と土地使用税も免除する。
この文書には第1工場の土地の買い取り価格は書かれていない。だがネット上に出回った別の文書によれば、神龍汽車は工場売却を通じて49億元(約742億円)を得る見込みだという。財新の取材に対して神龍汽車は「昨年から武漢第1工場の生産を第3工場に移管・集約している」と回答したが、工場資産の売却と価格に関してはコメントを避けた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月11日
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