台湾の半導体設計大手、聯発科技(メディアテック)は10月30日、2020年7~9月期の決算を発表した。それによれば、売上高は直前の4~6月期比で43.9%増、前年同期比で44.7%増の972億7500万台湾ドル(約3550億円)、純利益は前年同期比93.7%増の133億6700万台湾ドル(約488億円)と、大幅な増収増益を達成した。
7~9月期の業績が急拡大した裏には中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の動きがある。
アメリカ政府が8月17日にファーウェイに対する制裁を強化したため、メディアテックを含む半導体サプライヤーは9月15日以降、スマートフォン向けSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)などのキーデバイスをファーウェイに販売できなくなった。この制裁が発効する直前までファーウェイが半導体の大量調達を続け、主要サプライヤーの業績が押し上げられたのだ。
5G向けSoC拡販で10~12月期も強気
メディアテックはスマートフォン、タブレット、スマート家電、カーエレクトロニクスなどさまざまな分野の電子機器に搭載される半導体を設計している。なかでも拡販に注力しているのが、5G(第5世代移動通信)に対応したスマホ向けのSoCだ。同社の5G向けSoCは、ファーウェイ、小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、vivo(ビボ)という中国の4大スマホメーカーがそろって採用している。
2020年10~12月期の業績見通しについて、メディアテックは売上高が895億~973億台湾ドル(約3267億~3551億円)と予想している。直前の7~9月期比では0~8%の減少だが、前年同期比ではなお38~50%の大幅な増収を見込んでいることになる。10~12月期はファーウェイ向けの販売がないにもかかわらずだ。
その根拠についてメディアテックの蔡力行CEO(最高経営責任者)は、業績説明会の席上で「中国には5Gスマホメーカーが多数あり、市場も非常に大きい」と述べた。蔡氏の予想によれば、中国市場の2020年の5Gスマホ販売台数は1億2000万~1億3000万台に達するという。
蔡氏はさらに、2020年の5Gスマホのユーザー数が全世界で2億人に達し、2021年はそれが倍増するとの見通しも示した。
(財新記者:劉沛林、屈慧)
※原文の配信は10月30日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら