中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は10月22日、スマートフォンの新型フラッグシップ機「Mate40」シリーズを発表した。アメリカ政府の制裁により半導体の調達が困難になってから初めて発売するフラッグシップ機であり、同社がどんな発表をするかに注目が集まっていた。
「ファーウェイは今、アメリカの制裁の第3ラウンドに直面している(訳注:アメリカ政府は2019年5月にファーウェイに対する制裁を発動した後、2020年5月と8月に制裁措置を強化した)。この制裁は不公平なものであり、われわれは極めて困難な状況に置かれているが、どんなに苦しくてもイノベーションを止めない」
ファーウェイのコンシューマー製品部門のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、オンラインで開催したMate40の発表会でそう述べた。しかし(制裁の影響や今後の見通しなど)それ以上の具体的な情報には言及しなかった。
独自SoCの在庫は1500万~2000万個か
Mate40シリーズは下位機種が6.5インチ、上位機種が6.76インチの有機ELパネルを画面に採用。最大の特徴は強力なカメラ機能で、下位機種は背面に4つ、上位機種は5つのレンズを搭載している。10月23日にまず欧州で発売し、価格は下位機種で899ユーロ(約11万1800円)からだ。
アメリカの制裁との関係で注目されるのが、心臓部のSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)だ。Mate40シリーズはすべてファーウェイ独自のSoC「麒麟(Kirin)9000」を採用している。半導体設計子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計し、半導体の受託製造(ファウンドリ)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が最先端の5ナノメートルのプロセス技術で製造したものだ。
だがTSMCはアメリカの制裁を順守し、9月15日からファーウェイ向けの出荷を停止した。台湾の調査会社のイサイアリサーチは、それ以前にファーウェイが調達できた麒麟9000を1500万~2000万個と推計している。
この在庫を使えば、ファーウェイはMate40シリーズの生産を2021年まで続けられるとみられる。とはいえ、過去のフラッグシップ機の販売実績に遜色ない台数を売るにはまったく足りない。後継機開発の見通しも立たず、これが最後のフラッグシップ機になるかもしれない。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は10月22日
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