台湾半導体「聯発科技」5G向けチップ好調の訳

中国の大手スマホメーカーのほとんどが採用

台湾のメディアテックはハイエンドの5Gスマホ向けチップで市場シェア拡大を狙う(写真はメディアテックのウェブサイトより)

台湾の半導体設計大手、聯発科技(メディアテック)の業績が好調だ。同社が7月31日に発表した4~6月期の決算報告によれば、売上高は676億300万台湾ドル(約2421億円)と前年同期比9.8%増加し、四半期ベースで過去3年半の最高を記録。純利益は73億1000万台湾ドル(約262億円)と前年同期比12.4%増加した。

背景には5G(第5世代移動通信)スマートフォン向けのSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹部品を1つの基板にまとめたもの)の出荷急増がある。メディアテックの蔡力行CEO(最高経営責任者)は投資家向け説明会で、2020年の5Gスマホの出荷台数が全世界で1億7000万台から2億台に達し、そのうち中国市場が1億2000万台を占め、2021年はさらに倍増するとの見通しを示した。

「当社のミドルクラスからハイエンドの5Gスマホ向けSoCはパフォーマンスが高く、中国の大手スマホメーカーのほとんどが採用している。7~9月期からは5G向けチップセットの中国以外への輸出も始まる」(蔡CEO)

ファーウェイとの関係の行方に注目集まる

メディアテックは1997年に創業し、スマートフォン、タブレット、スマート家電、カーエレクトロニクスなどさまざまな用途の半導体を設計している。調査会社のデータによれば、同社はファブレス半導体メーカーの2019年の売上高ランキングでアメリカのブロードコム、クアルコム、エヌビディアに次ぐ第4位につける。

スマホ向けSoCの市場では、韓国のサムスンと中国の華為技術(ファーウェイ)が自社設計のチップセットを使うほかは、多くのスマホメーカーがハイエンド機種にクアルコム、ローエンド機種にメディアテックを採用してきた。しかし5G時代の到来とともに、メディアテックはハイエンド向け市場でのシェア拡大に力を注いでいる。

注目すべきなのは、アメリカ政府が5月15日にファーウェイに対して発動した追加制裁の影響だ。ファーウェイはSoCの自社開発を継続するのが困難になり、メディアテックとの関係を強化するのではないかとの臆測が広がっている。

本記事は「財新」の提供記事です

ファーウェイ傘下のスマホブランド「栄耀(honor)」の総裁を務める趙明氏は、財新記者の取材に対して「将来はメディアテックと5G用チップセットで協業したい」と語った。一方、メディアテックは同じく財新記者の取材に「わが社は一貫して世界各国の法令を順守している。個別の案件に関するコメントは差し控える」と回答した。

(財新記者:屈慧)
※原文の配信は8月1日

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