農薬の散布や圃場(ほじょう)の手入れなど、きつい農作業を無人化する機械・設備の需要が中国で急拡大している。「2020年の上半期はかつてない勢いで売り上げが増加した」。農業用無人機械の専業メーカー、極飛科技の共同創業者の龔檟欽(きょう かきん)氏は、7月28日に開いた新開発の農業用自動運転車両の発表会でそう語った。
極飛科技の広報担当者によれば、今年1月からの4カ月間だけですでに昨年1年分の売上高を超えたという。「新型コロナウイルスの流行が新たな需要を喚起したのか、それとも農業用無人機械が本格的な成長期を迎えたためか、まだ分析できていない」と、この担当者は付け加えた。
同社は広州市に本社を置き、農業用ドローンの製造を主力にしている。ここ数年は競合他社との差別化戦略を推し進め、IT技術による農作物の生育管理システムやドローン以外の無人機械などの研究開発に積極的に取り組んできた。
ドローンと自動運転車両が相互補完
7月28日に発表した農業用自動運転車両「R150」は、極飛科技が2019年12月にお披露目したコンセプト車両の量産モデルだ。農薬の散布、圃場の見回りや手入れ、作物や資材の運搬などさまざまな用途に対応でき、価格は5万1999元(約78万円)から。ちなみに同社の最新型ドローンの価格は4万元(約60万円)前後だ。
R150は用途の一部がドローンと重複するが、前出の広報担当者によれば、自動運転車両とドローンは競合せず補完関係にあるという。例えば広い範囲の農薬散布や種播きなどはドローンが効率的で、局所的な農薬散布や物資の運搬などは自動運転車両のほうが適しているという具合だ。
また、ドローンは天候や障害物の影響を受けやすいうえ、1回当たりの飛行可能時間が15分前後と短く、多数の電池を人手で交換しながら作業を続けなければならない。
これに対してR150は、農薬散布の場合は1回の充電で作業を45分間継続できる。さらに、作業中の安全対策やメンテナンスのコストなどもドローンより低いという。
(財新記者:方祖望)
原文の配信は7月29日
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