世界最大級のカジノ都市であるマカオの景気回復が遅れている。新型コロナウイルスの世界的流行が続き、基幹産業のカジノの低迷が長期化しているためだ。マカオ政府が11月6日に議会に提出した政府予算案によれば、2021年のカジノ総収入は1300億パタカ(約1兆7030億円)にとどまる見通しだ。
「マカオ特別行政区の2021年の経済状況は、新型コロナの影響が続くために依然厳しい。回復には時間がかかる」。マカオ政府は予算案の付属文書にそう率直に記した。
新型コロナが大流行する前の2019年のカジノ総収入は2924億5500万パカタ(約3兆8312億円)であり、マカオ政府は来年のカジノ業界の回復がなお平時の半分に届かないとみていることになる。カジノ総収入が過去最高を記録した2013年の3607億4900万パカタ(約4兆7258億円)と比べると大幅減少だ。
特区政府は財政準備金を取り崩し
マカオ政府は新型コロナ対策のため、今年2月に域内の全カジノを一時閉鎖した。その後、カジノの営業は順次再開されたが、中国本土や香港および海外からの厳しい渡航制限が続き、4月から9月までのカジノ収入は前年比90%以上の落ち込みを見せた。
10月には中国本土からの渡航制限が緩和されたため、同月のカジノ収入は前年同月比72.5%に改善した。とはいえ極めて厳しい状況が続いていることに変わりはない。
カジノからの税収は、マカオ政府の歳入のほぼ半分を占める。2021年の政府予算案ではカジノ特別税の収入を455億パタカ(約5961億円)と見積もっており、2019年の910億パタカ(約1兆1921億円)から半減する。そこでマカオ政府は「マカオ特別行政区財政準備金」から265億8100万パタカ(約3482億円)を取り崩し、歳入不足の穴埋めにあてる。
(財新 駐香港記者:劉雁菲)
※原文の配信は11月5日
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