スマートフォン向け部品メーカーの中国の藍思科技(レンズ・テクノロジー)は8月18日、台湾の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)から中国の生産子会社である可勝科技泰州と可利科技泰州の全株式を99億元(約1508億円)で買い取る契約を結んだと発表した。この買収は藍思科技の全額出資の香港子会社である藍思国際を通じて行われる。
藍思科技はスマートフォンやタブレットの画面を保護するカバー・ガラスの大手企業。一方、可成科技はスマートフォンやハイエンドのノートパソコンなどに使われる金属製の一体成型筐体(きょうたい)の大手だ。
可成科技は中国大陸に多数の工場を持ち、可勝科技泰州は2012年に、可利科技泰州は2016年にいずれも江蘇省泰州市に設立された。両社の株式は可成科技が間接支配する香港の持ち株会社、ライラ・インターナショナルが保有している。今回の株式譲渡にあたり、藍思科技は藍思国際に、可成科技はライラ・インターナショナルに対してそれぞれ保証を提供する。
iPhone用の金属筐体で5割超えるシェア
藍思科技の説明によれば、同社の主力事業である強化ガラス、サファイヤガラス、セラミック、アクリル樹脂などと、可成科技が得意とする金属部品加工はサプライチェーンの上流と下流の関係にある。今回の買収を通じて、藍思科技は垂直統合されたより全方位的なソリューションを顧客に提供する計画だ。
可成科技の子会社売却をめぐっては、やはり中国の部品メーカーの立訊精密工業(ラックスシェア)も買収に名乗りを上げ、藍思科技と激しく争った。最終段階の買収価格提示で藍思科技が立訊精密工業に競り勝ったが、内情に詳しい関係者によれば、「アメリカのアップルの支持を藍思科技が取り付けたことが決め手の1つになった」という。
というのも、藍思科技と可成科技はどちらもアップルの部品サプライヤーなのだ。この関係者によれば、可成科技の子会社売却の背景にはアップルの思惑があった。「可成科技はiPhone向けの金属筐体で5割を超えるシェアを持ち、アップルにとっては部品調達のリスク分散の観点から好ましくなかった」。そこでアップルは単一サプライヤーへの依存度を引き下げるもくろみで、可成科技の工場売却を望んだとみられる。
(財新記者:彭岩鋒)
※原文は8月19日配信
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