台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)の業績が、新型コロナウイルスの打撃から急回復を見せている。同社は電子機器の受託製造サービス(EMS)の世界最大手。中国大陸の主力工場でロックダウン(都市封鎖)解除後の操業再開が順調に進んだことが、業績回復の原動力だ。
ホンハイが8月12日に発表した2020年4~6月期の決算報告によれば、同四半期の売上高は1兆1300億台湾ドル(約4兆680億円)と前年同期比では2.77%減少したものの、新型コロナの直撃を受けた1~3月期より21.38%増加した。4~6月期の純利益は228億8000万台湾ドル(約824億円)と前年同期比34%増加し、1~3月期比では11倍となった。
同社CFO(最高財務責任者)の黄徳才氏は4~6月期の業績説明会で、同期の決算は「事前の予想どおりだった」だったと述べた。なお7~9月期に関しては、売上高が4~6月期比で1桁増となるものの、前年同期比では2桁減になるとの見通しを示した。
iPhone組み立てに中国系EMSが参入
アメリカのアップルは、「iPhone」の組み立てをホンハイを中心とする台湾系の3社のEMSに委託している。しかし今年7月、そのうちの1社である緯創資通(ウィストロン)がiPhone組み立てを担当する江蘇省の工場を中国系EMSの立訊精密工業(ラックスシェア)に売却すると発表。手続きが完了すれば、台湾勢によるiPhone組み立ての独占に風穴があく。
これに関してホンハイ董事長(会長に相当)の劉揚偉氏は、「EMS業界で競争相手が増えるのは自然なことだ。健全な競争は業界発展の原動力になると信じている」と業績説明会で語った。
劉氏はさらに、ホンハイと顧客との信頼関係は一朝一夕に形成されたものではないと強調。「技術的なリードを維持するため、ホンハイも不断の努力を重ねている。ラックスシェアのお手並みをじっくり拝見したい」と自信を覗かせた。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は8月12日
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