中国では一部の都市で新型コロナウイルスの集団感染が散発的に続き、南部の地方は豪雨による深刻な水害に見舞われている。だが最新のデータによれば、それらの影響は中国経済の回復の勢いをそぐには至っていない。
8月3日に発表された7月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は52.8と、前月の6月の51.2から1.6ポイント上昇し、2011年2月以来9年ぶりの高水準を記録した。好不況の判断の目安とされる50を上回るのはこれで3カ月連続だ。
製造業の生産指数は5カ月連続で、新規受注指数は2カ月連続で拡大基調を維持しており、ともに2011年2月以来の高水準となった。調査対象企業からは、「新型コロナによる落ち込みから徐々に市況が回復し、顧客からの引き合いが増えている」という声が数多く寄せられた。
海外では新型コロナの流行収束を見通せない状況が続き、7月の新規輸出受注指数は縮小基調を抜け出せなかった。また、製造業は従業員の増員には引き続き慎重で、雇用指数は7カ月連続の縮小基調となった。しかし国内需要の回復を背景に「従業員を増やしている」と回答した企業もあった。
経済指標は供給側と需要側がそろって好転
原油などコモディティー相場の回復を受けて、原材料購買価格指数は2カ月連続で上昇した。製造業は原材料コストの上昇と受注の増加のなかで製品価格を小幅ながら引き上げており、工場出荷価格指数は2018年9月以来の高水準を示した。ただ、一部の企業からは「受注獲得や販促活動の競争が激しく、価格交渉力は限られている」との声も聞かれた。
今後12カ月間の楽観度を示す指数は6月よりわずかに低下したものの、引き続き高い水準を維持した。中国の製造業は総じて「コロナ後」の景気回復への自信を深め、より一層の需要拡大に期待していると言えそうだ。
「一部の都市でのコロナ集団感染は、国内景気の回復基調には影響しなかった。経済指標は供給側と需要側がそろって好転している。とはいえ外需と雇用の弱さは気がかりであり、引き続き注視していく必要がある」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:沈凡)
※原文の配信は8月3日
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